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古賀事件3

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「かわりました○○です」
私が言った。
「○○さんですか。反面調査の件で聞きたいことがあるのですが」
古賀と名乗る男は、所属部署や名前も名乗らず、いきなり、用件を切り出してきた。すでに伝えてあることを、わざわざ言う必要はない、という態度にとれた。
「反面調査?」
その男の態度に、私は怒りが込み上げてきた。
「反面調査で聞きたいことがあるのなら、まず所属部署と名前を正しく名乗るべきじゃないんですか。あんた、中川税務署の者と言っていたようだが、一体どこの部署なんだ。中税務署の職員か」
「それは」
「一体、どういうつもりなんですか。留守だと言っているのに、何度何度も電話をかけてきて。人の仕事を妨害する気か」
「そんなつもりじゃないですよ」
「じゃ、どんなつもりなんですか。人の都合も考えずに、そんなに急ぐ用件なんですか。2時間足らずの間に10回近くも電話をかけてきて。非常識にも、ほどがあるんじゃないか」
そこで一息ついたが、古賀と名乗る男は何もしゃべらなかった。
「そんな常識のないやり方を、税務署は勧めとるのか。あんたんとこの署長は、何て名前なんですか」
きつく詰問したが、その男は何も答えなかった。
「自分とこの署長の名前がわからないんですか」
「 ……… 」
「署長の名前は何というんです!」
重ねて聞いた。
すると、その男は
「南」
と、一言だけ答えた。
「南何と言うんです」
「 ……… 」
「下の名前は何と言うんですか!」
重ねて聞くと、そのまま電話が切れてしまった。
都合が悪くなったから、勝手に切ったのだろう。そういうところにも、倣岸さが感じられた。

中川税務署の古賀と名乗ったこの男は、古賀聡明財務事務官。名古屋中税務署に所属する特別調査情報官。
それらのことが正式にわかったのは、実にその後、1年近くもあとになってからのことである。
なぜ、この時、中川税務署員を騙ったかという真相とともに。

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