« 古賀事件1 | トップページ | 古賀事件3 »

古賀事件2

事務所に戻る間にも、古賀という男から電話があったと聞いた。
さすがに、私も腹が立ってきた。

中川税務署の者だと名乗っていたが、中川税務署では、そのような職員はいないという。すると、税務署の者ではなく、税務署員を騙る偽者だろうか。
税務署や警察の関係者を装って、個人の情報を不正に取得しようとしたりする例は、よくある話である。たちの悪い興信所やサラ金の取立て屋などが、よく使う手である。
また、税務職員を騙って振込み詐欺などを働くやからもいる。その男の対応から考えて、そういったたちの悪い連中の一人ということも、考えられないことはない。

だが、不正な手段で目的を達しようとする興信所や詐欺師であれば、自分たちの正体がばれないように、もっとうまく振舞うのではないか。少なくとも、あれだけ執拗に電話をし、人の話を全く聞かずに、一方的に自分の用件だけを押し通そうとすれば、相手に怪しまれてしまって目的を達成できない。
やはり、税務職員か。

確かに、税務調査に来る現場の調査官には、横柄な者が多い。しかし、最近は税務署の対応もかなりよくなっており、窓口の職員の対応などは、役所の中では一番感じがよいほどである。
令状を持った強制調査でもないかぎり、いきなり押しかけてくるようなことはなく、直接の税務調査でも、事前の連絡により、都合のよい日程を調整して行うのが普通である。
正規の税務署員が、半面調査ぐらいで、このような対応をとるだろうか。

税務署員の偽者ならば、とっ捕まえて警察に突き出してやらねばならない。また、本物の税務署員ならば、税務署員として著しく資質を欠いているから、厳しく懲戒を求めねばなるまい。まさか、このような対応を、上の者が命令してやらせているなどということは、到底考えられない。
しかし、である。
中川税務署では、そのような職員はいないという。わからない。

事務所へ帰ってから、電話の内容の録音を聞き返した。中川税務署という部分が、ナカザワ税務署というようにも聞き取れるため、国税局に電話をしてナカザワ税務署が実在するかどうか、また古賀と言う税務職員が実在するかどうかを尋ねたりもした。

それから、しばらくすると、中川税務署から電話がかかってきた。私が電話をしたときに対応した総務課長からだった。
「先ほどの件ですが」
「分かりましたでしょうか」
「照会のあった古賀という職員ですが、中税務署の者のようです。中税務署でお尋ね下さい」
「中税務署!」
私は、思わず聞き返した。

すると、ちょうどそのとき、電話が鳴った。
古賀職員からだと言う。

|

« 古賀事件1 | トップページ | 古賀事件3 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/145030/3181506

この記事へのトラックバック一覧です: 古賀事件2:

« 古賀事件1 | トップページ | 古賀事件3 »