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自省の念

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2月20日、いつものようにO弁護士が面会に来た。
前日申し立てをした準抗告の棄却の報告である。

棄却はされたが、棄却理由の中に注目すべき事項があった、とO弁護士は言った。
それは、
「本件の起訴不起訴を決定するにあたっては、被疑者、被害者及びその関係者の取調べが不可欠であるところ、これまで被害者や関係者の取調べが行われてきたものの、これらの者についていまだ細部にわたる検察官調書の作成に至っていない状況にある」       
という部分である。
この「起訴不起訴を決定するにあたっては」という文言は、めったに見られるものではない。今までの状況からすると、こんなのは起訴するような事件ではなく、不起訴事案だよと裁判所が判断して、検察に暗に起訴しないよう勧告している表現だ、というのである。
「もちろん、100%ではないが、8:2か7:3ぐらいの確率で不起訴だと思う」
と、O弁護士は言った。
「そうですか!」
その言葉を聞いて、私は一瞬喜んだ。声が弾んでいたかも知れない。
しかし反面、その言葉に心底喜べないわだかまりもあった。

それは、前日に行われた検事調べの雰囲気にあった。
担当検事は、小池光夫という検察官だった。ヘビのような目をした検事で、およそ笑ったことなどないという非情な雰囲気を持つ年配のベテラン検事だ。
その検事調べが、尋常ではなかった。

まず、税務職員の不正について中税務署長や国税庁長官らに抗議の誓願をしていた件については、税金の支払いを免れるためにしたのではないか、と激しく攻めたててくる。
書面で平穏に抗議して、税金の支払いが免れたなどという話は聞いたことがない。そんなことなら、納税者はだれでも抗議するではないか。
そんな理屈を少しでも言おうものなら、声を荒げ、真っ赤な顔をして抑え込んでくる。
「世間でも、社長を出せとか、支店長を出せとかいうような者にろくな者はいない。そういうことを言う者は、悪巧みを持つ人間だ!変な魂胆があったんだろう!」
私は税務署へ行って、署長を出せと怒鳴ったわけではない。竹山財務事務官(特別国税調査官)が正しく説明しないので、電話や書面で同席を求めただけである。

「カセットテープはパーティションに投げた?税務職員に投げたんじゃないのか!二人ともそう言っとるじゃないか!」
それは違う。
当たった場所を写した写真も持参していると、いくら真実を訴えても、耳を貸そうとはしなかった。
「仮に、パーティションに投げたのが事実だったとしても、それは相手に脅威を与えて公務を妨害するためにやったんじゃないのか!」
「公務の妨害?」
相手がうそばかりついて、説明業務を放棄したことに確かに腹はたてたが、事件にならないよう、その怒りの爆発を抑えるために行ってしまった行為である。大人気ない行為ではあるが、犯罪に問われるような行為ではない。
それに、そのとき竹山財務官は、脅威など全く感じておらず、怒った口調で言い返してきたのだ。
そのように説明しようとすると、話を最後まで聞かずに途中で、
「目の前で物を投げれば、脅威を感じるに決まっているじゃないか!」
と、また怒鳴りつけてくるのである。

「私には公務を妨害するメリットなんか、何もありませんよ」
竹山財務官は、何ら調査結果の説明をしようともせずに、更正処分を目論んでいた。正しい調査結果の説明を求めていたのは私の方であり、それを避けようとしていたのが竹山財務官である。
事件になっている1月23日の税務調査も、説明のためだけに来たのである。私が聞きたかった説明を暴力で排斥すれば、更正処分をされた上、何らかの刑事罰を受けることぐらい当然にわかっていた。
だからこそ、散々うそをつかれ、つぼまで割られて否認のうえ逃走されても、殴りつけたい感情を抑え、相手には指一本触れずに写真を撮っていたのである。
そのように説明しようとしても、話し自体まともに聞こうとはしなかった。
「メリットがないから犯罪をしない?世の中は、メリットにならないのに犯罪を犯す人間の方が多いんだ!」
と、大声を張り上げて、自説を押しつけてくるのである。

私は、閉口した。
何を言っても無駄である。事実を詳しく調べて罪状を決めるというのではなく、最初に罪状を決めつけて、それに合うように事実を作り上げていくというやり方なのである。

もう、どうなってもいいから、目の前の机をひっくり返し、この傲慢な検事を殴りつけたいような衝動にもかられた。
と同時に、自分も今まで、立場の弱い子供たちに、父親づらして一方的に意見を押しつけるだけの傲慢な態度をとってはいなかっただろうか、という思いも去来した。
これからは、まず、言いたいだけ言わせてしっかり話しを聞いてやらねばならない。
そんな自省の念を、小池検事は与えてくれた。

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