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勾留延長

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2月18日、10日間の勾留期間が切れることに伴って、O弁護士から、事前に勾留期間の延長請求に対する意見書が提出された。
が、名古屋地方裁判所の渡辺諭裁判官は、被疑者取調未了、関係人取調未了を理由として、9日間の勾留延長を認めた。
法定最長勾留期間の10日より、1日少ない日数である。被疑者側の事情も考慮したという配慮かも知れないが、こういうしみったれたところに、事なかれ主義の染み込んだ公務員の保守性が現れていた。

翌19日、O弁護士から勾留延長の裁判の取り消しを求める準抗告の申し立てがなされた。
申立理由の要旨は次のとおりである。
被疑者取調未了、関係人取調未了の事実が仮にあっても、それは司法警察員の職務怠慢によるものである。事実を事実として認めている被疑者に、不利益となる形で勾留延長を認めるべきではなく、犯罪捜査の原則に還って任意捜査とすべきである。

事実は、税務調査にあたって嘘ばかりつき、説明業務を途中で放棄して勝手に帰ろうとした中税務署員の倣岸な態度から口論になり、カセットテープをぶつけることで怒りを静めようとした被疑者の行為が、歪曲されて事件が構成されているものである。
被疑者がカセットテープを当てた場所は、被疑者の領域内のパーティーションである。被疑者が座っていた一人用のソファーの横であり、河地税務官が竹山税務官と座っていた3人用ソファーの方ではない。

以上の経過は、写真や現場を見たうえで、関係者から供述を取れば容易に明らかになるものであり、被疑者は当時の現場の状況が明らかとなる写真やそのネガフイルムも持参して中警察署に出頭している。

ところが、捜査を担当する司法警察員は、全く効率的に事件を処理しようとしなかった。
2月10日、2月12日、2月16日、2月17日の4日間の取調べにおいて供述調書2通を作成するまでの時間は、延べ4時間15分に過ぎない。
これは、接見禁止付の拘留期間10日間を有効に利用したとはとてもいえない。逆に、期間内に必要な捜査をしないで漫然と延長を請求していると評価できる。
被疑者は接見禁止による勾留により全く仕事ができず、本件事件終了後の生活に不安を抱くに至っている。被疑者をことさらに追い詰める勾留延長決定はすべきでない。

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同日、本件準抗告を棄却する、という決定がなされた。
平成16年(む)1352号 決定
下記3名の裁判官による合議である。
平成16年2月19日
名古屋地方裁判所刑事第3部
裁判長裁判官 片山俊雄
裁判官 岩井隆義
裁判官 小松秀大

理由を記した別紙は次のとおりである。
一件記録を検討すると、被疑者が税務署職員らに対し暴行を加えた事実はないなどと被疑事実を否認している上、犯行に至った経緯についても被疑者と被害者らの供述には食い違いがある。
そこで、本件の起訴不起訴を決定するにあたっては、被疑者、被害者及びその関係者の取調べが不可欠であるところ、これまで被害者や関係者の取調べが行われてきたものの、これらの者についていまだ細部にわたる検察官調書の作成に至っていない状況にある。       
かかる事情に照らせば、9日間延長してさらなる捜査を進めることはやむを得ない事由があると認められる。
なお、一件記録から認められる捜査状況に鑑みれば、弁護人が主張するような捜査官の怠慢等があったとは認められない。
よって、原裁判に違法、不当の点はなく、本件準抗告には理由がないから、これを棄却する、というものであった。

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