« 冤罪の土壌2 | トップページ | 検事調べ »

冤罪の土壌3

<はじめてのかたは、トップページからお読み下さい>

まことに、ひどい話である。
検事調べの時に、供述調書は警察に強要されて無理やり作成されたと訴えればよいではないか。
私がそう勧めても、
「どうでもいいんよ。何にもないけん」
と、U氏は言う。
すべてを失って、自暴自棄になっているようであった。
身の回り品の手配などで、借りを作った精神的な負い目もあるのだろう。拘禁されると、些細なこと、当たり前のことでも異様に過敏に反応する精神状態に陥ることは、私もいやというほど味わっていた。
それでも、警察に対しては、強い恨みを抱いていた。

「出たら、刺してやる」
と、物騒なことも言っていた。
そんなことをしなくても、検事調べのときに供述を翻すか、それができなければ、裁判で供述を一転させればよいではないか。警察に都合のいい供述調書を作成された経緯を暴露するだけでも、出世主義で人間性の欠落したその警部補に対する十分な報復になるはずである。
「どうでもいいんよ。何にもないけん」
なにか言っても、U氏は口癖のように、その言葉を繰り返すだけだった。

冤罪を生む要素は、ほかにも多い。
供述調書の作成の仕方も、そうである。作成方法は警察でも検察でも全く同じであるが、問題点は次のとおりだ。
①供述調書に作成年月日を明記しないこと
②文中の供述内容の訂正印やページ間の割印は、作成者である警察や検察しか押印せず、被疑者には捺印(指印)させないこと

なぜ、これらが問題かというと、供述調書が警察等によって勝手に偽造、変造して下さい、と言っているようなものだからである。

供述調書は、供述の最後に被疑者に署名させた上、指印で押捺させるが、その次には、
「以上のとおり録取して読み聞かせたところ誤りのない旨申し立て署名指印した」という文言を入れ、次いで「前同日」と書くだけで作成日付を全く明示せず、その後に当該供述調書の作成者である警察官や検察官が署名捺印して終わりなのである。

なるほど、供述調書の最初のページには「上記の者に対する○○○被疑事件につき、平成○年○月○日愛知県中警察署において、本職は、あらかじめ被疑者に対し、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げて取り調べたところ、任意次のとおり供述した」として、取調べの年月日が入っては、いる。
しかし、訂正箇所もページ間の割印も被疑者には捺印(指印)させないのであるから、被疑者が署名指印した最後のページだけ残して、後はバソコンでどのようにでも作り変えれるのである。

割印や訂正印は、本来、一部の者によって内容が勝手に偽造、変造されないよう、その文書の作成にかかわった者全員で捺印するものである。
陳述書や上申書などのように作成にかかわった者が一人だけであれば、その作成者一人が捺印すれば済むが、供述調書は、そうではない。
供述調書は、被疑者の供述を、供述どおり間違いなく文書にするという性格のものであり、本来被疑者自らが作成すべきものを、便宜上取調官に作成させているだけである。
取調べの担当者はただの代筆者であり、調書の内容を供述の本人である被疑者に無断で訂正したり変造したりする権限はない。権限はないにもかかわらず、偽造変造を防止するための割印等が代筆者たる取調官だけで、肝心の供述の本人である被疑者には捺印させないというのは、いかにも矛盾した話である。

作成者は警察官や検察官だから、割印や訂正印も警察官や検察官のみが押印すべきものだという屁理屈は、一般社会では通用しないが、閉鎖された特殊の取調室という社会では、それが常識として通っているのである。

検察庁の研修を受けていた司法修習生当時の話として、供述調書がうまく変造できるようになったら、一人前の検事だと現職の検事が酒の席で言っていたと、ある弁護士が語っていたが、そのようなことを簡単に行えるシステムが放置されていることは、法治国家として非常に大きな問題ではないだろうか。

Bulogu_010_4

Bulogu_011_3

Bulogu_012_1

Bulogu_013_1

Bulogu_014_1

|

« 冤罪の土壌2 | トップページ | 検事調べ »

コメント

TBありがとうございました。
このような偽造が日常行われているとは
驚きました。
検察は、立件には慎重だが、一旦書類送検した後は無罪となっては汚点となるため
有罪とする為のあらゆる手を尽くすとは
聞いたことがありましたが
ここまでとは・・・残念です。

投稿: PCU広報 | 2006年9月25日 (月) 22時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/145030/3538972

この記事へのトラックバック一覧です: 冤罪の土壌3:

« 冤罪の土壌2 | トップページ | 検事調べ »