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取調べ2

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2月12日の取調べ。
逮捕当日と翌日は身上に関するくだらない質問事項で供述調書が作成されたが、その日以来の取調べによる供述調書の作成となった。
その際私は、取調べを担当する山本刑事に、竹山財務事務官が私のつぼを割ったので、器物損壊罪で告訴したいと訴えた。

「つぼを割った?」
山本刑事は、全くはじめて聞く事実だったとみえ、やや驚いて尋ねてきた。
私はつぼが割れた経緯を説明したが、その前後の話は聞こうともせず、割った瞬間だけに関心を示した。
「どういうふうに割ったかが問題だ」
つぼを両手で持って床に投げたのか、手で払って台から落として割ったのか。
山本刑事はそうつぶやきながらも、その事実を疑っているようでもあった。私が更に詳細に説明しようとしても、
「そんなことは訊いてない」
と、話を遮るだけだった。

それから3日間、何の取調べもなかった。
むろん取調べなど楽しいものではないから、ない方がよさそうなものだが、取調べがないと一日中缶詰状態で時間がおそろしく長く感じられ、精神的に、より大きな苦痛を覚える。取調べは、ある意味勾留生活の気晴らしのようなものであり、なくても困る存在だった。

2月16日になった。
取調べもないので、留置場備付けの推理小説や歴史小説を読んで退屈を凌いでいたが、気分が乗らないときは、好きな小説でも集中できない。読書も、どんな本を読むかではなく、どんな環境で読むかの方が大事だということを、初めて知った。

夕食になった。
やっと6時か。時計が見られないため、時刻は3度の食事で判断するしかない。
楽しみがないから、食事時間だけが待ち遠しくなる。食べることそれ自体より、時間が経過した証が得られることが、うれしいのかも知れない。

私の場合は、弁護士のO氏が毎日面会に来てくれたので、精神的にはかなり助かっていた。その後も、検事調べなどで行き違いになった日を除いて、一日の例外もなく、面会は続けられたのである。

夕食が終わると、各自が順番に房内に布団を入れる。布団を入れてから就寝の9時の消灯までは、比較的時間が短く感じられる。
「あーあ、今日も終わったね」
布団を入れ終わると、U氏がつぶやいた。

布団に入ってしばらく読書にふけっていたら、ガチャリと鈍い音がした。扉のカギを開錠する音である。
「○○、取調べだ」
留置担当官の声だった。

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