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権力の呪縛

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2月26日になった。
留置場の生活は、3度の食事と取調べぐらいで、変化のない単調な生活である。食事以外の楽しみといえば、一日20分程度の運動時間と週に1回の入浴ぐらいである。
運動時間といっても、特別何か運動するわけではない。コンクリートの壁に囲まれた空間にゴザを敷き、数人が順番にそこに座って、房内で禁止されている喫煙や新聞の閲覧をして時間を過ごすだけである。
タバコを吸わない私には、運動時間も、楽しみと言えるほどのものでもなかった。

一通り取調べが終わると、房内から外へ出る機会が極端に減る。一日が非常に長く感じられた。
「旦那さん、明日決まるね」
同房のU氏が話しかけてきた。
起訴か、不起訴か、ということである。不起訴であれば、釈放だった。
U氏は、すでに起訴されていた。彼は事件の経緯や経歴、身の上話し等をいろいろ話したがる性格なので、私は、彼の人生相談の相手にもなっていた。
私は、どちらかといえば無口な方で、自分から事件や身上に関することは話さない。
たとえ、事件のことを話しても、
「国と喧嘩したって勝てっこないんだから、やめときなよ」
と言われるだけだから、詳しくは話さなかった。
ただ、彼のことをいろいろ聞いた関係で、私も事件の概要だけは話していた。
O弁護士は、まず不起訴だと思うと言っていたが、彼は間違いなく不起訴だと言ってくれていたのである。むろん、何の根拠もなかったが。

取調べを通じて得た感触は、国税と警察だけの関係で動いているものではない、ということだった。
2月7日に逮捕され、2月9日に勾留が決定したが、実は、その3日後の2月12日には、名古屋中税務署長の南博昭名で私の事務所に所得税の更正通知書が送付されていたのである。
O弁護士から、数日遅れてそのことを面会の時に聞いたのであるが、この手際よさは、私が国相手に民事訴訟を提起した3日後に、いきなり警察が逮捕に来た時と同じであった。

勾留の決定を待ち構えて、本人のいなくなった事務所へ更正通知を送りつけてきているのである。異議申立、審査請求、税務訴訟等は、どこにいても法律上は可能であるが、拘禁の身では、証拠書類の収集や弁明等の都合上、実際問題としては、非常に困難であった。事実上、それら救済の道が閉ざされたに等しい。

また、検察官の取調べに及ぶ姿勢にも非常に厳しいものがあり、警察官は私に有利な物的証拠は、一切調べようとはしなかった。供述調書そのものは、事実に即して作成させたが、それを裏付ける物的証拠は何ら調べなかったのである。
私が持参した現場の証拠写真や、事務所に保存してある投げたカセットテープケースの破片も調べなかった。竹山財務事務官らの供述の偽りを明らかにする事務所の電話の録音も、私が調べてくれ、と言っているのに調べなかった。
犯行状況を再現する写真撮影も、実際の状況がわかる私の事務所ではなく、全く状況の異なる中警察署内の広い宿直室で行った。
現場引当てのときも、私の事務所のあるマンション全体を、外から写真撮影しただけで、肝心の現場となった事務所の応接室には入ろうともせず、そこでの質問を避けるように終わらせたのである。

単独な動きではない。
国税、検察、警察が連動して動いていることは間違いなかった。
(戦うには、ここを出なければならない)
そう思っても、何ともならない。
権力が、じわじわと真綿で首を締めに掛かってくる。体が自由にならないだけに、その力がより強大に感じられた。

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