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保釈2

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その日の夕方、事態が急展開した。
保釈が認められたのである。
留置担当官からその知らせを聞いたとき、はじめ何がなんだかわからなかった。
保釈請求却下決定書が、今日、手渡されたばかりである。それが、一転許可になるとは。
事情はわからなかったが、展望は開けてきた。

保釈の連絡があった後、O弁護士が面会に来た。
「いい裁判官に当たったよ」
と、彼は弾んだ声で言った。

3月3日に保釈請求が却下されると、彼は即時、準抗告を申し立てた。
今まで説明してきた事件の事実や経緯に触れ、罪証隠滅のおそれという保釈請求却下理由に具体的、客観的な合理性がないことを訴えるとともに、今回の準抗告では、10年以上にわたって役所の固定資産評価員を勤め、当該固定資産評価業務を現在も継続中で、この仕事の締め切りが平成16年3月12日であり、被告人にはこのやりかけの仕事を終了させる責任がある、ということも訴えた。

準抗告に対する決定は、次のとおりであった。
<主文
原裁判を取り消す。
別紙記載の条件を付して、被告人の保釈を許可する。
保証金額は金300万円とする。
理由
本件公訴事実の要旨は、不動産鑑定士である被告人が、被告人方の事務所において、所得税調査に訪れた税務署勤務の財務事務官に対し、「うそばっかつくな」などと怒号しながら、同人の身体に向けてカセットテープを投げつける暴行を加え、同人の職務の執行を妨害したというものである。
一件記録によれば、被告人はカセットテープを投げたことは間違いないが、身体に投げつけたのではないなどと述べて犯行を否認し、本件犯行に至る経緯ないし犯行状況につき、本件犯行現場に立ち会った2名の財務事務官の供述内容等と相当程度異なった供述をしている状況にあるところ、これらの立証にあたっては供述証拠に頼ることの大きい事案であることなどに鑑みれば、公訴提起がなされた現段階においても、被告人が関係者に働きかけるなどして罪証を隠滅するおそれはなお否定できない。
しかしながら、他方で、本件現場に立ち会った両財務事務官に対しては、複数回の事情聴取が行われ、細部にわたる供述証拠が作成されているほか、客観的証拠や複数の関係者による供述証拠が収集されて捜査が尽くされており、現段階において被告人が前記財務事務官をはじめとするこれらの関係者に働きかけ、罪証を隠滅する具体的なおそれは相当程度低減しているものと認められる。
このことに、本件事案の内容、さらには被告人の妻が保釈後の被告人の身柄を確実に引き受ける旨誓約していること、被告人の仕事の内容及び生活状況等を併せ考えると、裁量により被告人を保釈するのが相当である。
そうすると、本件準抗告は理由があるから、刑事訴訟法432条、426条2項により、主文のとおり決定する。
平成16年3月4日
名古屋地方裁判所刑事第4部
  裁判長裁判官 沼里豊滋
      裁判官 田邉三保子
      裁判官 安達拓  >

保釈が決まった。予想外の展開だった。
長期の勾留生活を覚悟したが、うれしい誤算となった。起訴されると同時に保釈を請求して却下されたが、その準抗告で保釈が認められたのだ。
否認事件でこんなに早く保釈が認められるのは例がないから、名古屋地裁では有名になっていたということを、後に私の弁護団に加わったB弁護士が言っていたほどである。

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