« 権力の犯罪 | トップページ | 礼状 »

官僚の無責任体質1

<はじめてのかたは、トップページからお読み下さい>

武士の時代は己の誇りを重んじ、恥ずべき行為を行った場合には、自ら命を絶つことで名誉を保つ武士道の精神があった。
ところが、現在の官僚機構ができてからは、失敗や権力を利用した犯罪行為を行っても、高級官僚は責任を負わないという悪しき伝統が根付いてしまった。

顕著な例が、先の大戦での出来事である。
真珠湾攻撃で、宣戦布告の伝達任務を怠り、騙まし討ちの印象を世界に与えて日本の名に泥を塗る大失態を犯したワシントンの日本大使館員たちは、国賊として処罰されるどころか、何の裁きも受けずに、戦後は高級外務官僚にまでなっている。

インパール作戦を立案、強行して失敗した第15軍司令官牟田口廉也も、何の責任もとっていない。
日本軍参加将兵約8万6千人のうち戦死者が2万から3万人強、戦病者は4万人以上も出した杜撰かつ無謀な作戦を強行しながら、その責任を問われることはなかったのである。
参加した師団長をそれぞれ罷免、更迭し、一切の責任をそれらの部下に押し付けて、自分は責任を免れている。

また、日米開戦を画策した海軍国防政策委員会の軍官僚だった石川信吾や富岡定俊らも、何の責任もとっていない。
当時の日本の石油備蓄量に関して虚偽の情報を流し、民間会社による石油調達プロジェクトを軍を利用してまで意図的に潰して、日本は石油がないから戦争を始めるのだという戦争開始の正当性を作り上げ、日本全体をあの悲惨な日米開戦に突入させたことは、今では広く知られている。
多くの犠牲者を出し、我が国を廃墟と化した責任を全く自覚することなく、逆に戦争を主導したことを自慢して生涯の寿命を全うしているのである。

このような官僚の無責任な体質は、現在もそのまま引き継がれている。
官僚は政治家と違って目立つことがないので、不正が発覚しにくい。
責任を追及されそうな場合は、巧妙に他の者に責任を転嫁して自らの責任を逃れようとする。不正の事実や結果責任は組織ぐるみで隠蔽してしまうので、表に出ることはなく、それがまた不正や無責任な行動を引き起こすという悪循環が生じている。

そういった体質を生み出したのは、机上の成績を至上主義としてキャリアを養成してきた旧来の制度に一番の問題がある。
戦前までは、軍人が役人のエリートである。一般の兵隊は、少尉につくことなどありえなかったが、陸軍士官学校、海軍兵学校を卒業した者は、その時点で少尉となる。更に上の養成機関である陸軍大学校、海軍大学校に入れば、軍内の高級将校になる道が約束されていた。
戦時中の大本営で作戦部に所属した幕僚はエリート中のエリートであったが、それは陸軍大学校、海軍大学校の成績で1番から5番までの者しかなれなかった。
エリート養成学校での成績で、その後の地位が決まってしまっていたのである。
(参考:保阪正康著 あの戦争は何だったのか)

こうした制度は、戦後も全く変わっていない。
陸大や海大が東大に変わり、陸大や海大の成績が国家公務員の上級試験の成績に変わっただけである。
官僚機構においては、入所時点の成績だけで将来がほとんど決まってしまうので、その後努力する必要はなく、堕落していくだけとなる。
そして、もともと学校の勉強や、入試、公務員試験などを偏重してきた者たちの集まりであるから、天下国家を案ずる高邁な思想や情熱的な精神に欠けている。
社会経験や人生経験も乏しいまま、エリート官僚として人の上にたつ地位につくから、人間にとって最も大切な情緒が欠落している者が多い。
そういった人間が、官僚機構の中で既得権益を享受しながら国の指導者として君臨しているのである。

|

« 権力の犯罪 | トップページ | 礼状 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/145030/3724027

この記事へのトラックバック一覧です: 官僚の無責任体質1:

» 核実験で一番先に思い浮かぶ「第五福龍丸」 [競艇場から見た風景]
北朝鮮が核実験を行ったと宣言しているわけだから、核実験を行ったんだろうが・・・? この情報化時代に丸1日半が過ぎでも核実験の有無が掴めないとは・・・不思議な感じもする。 「早期爆発」の失敗説が浮上してるとか? 通常爆弾を大量に爆発させ「核実験に見せかけ」説な..... [続きを読む]

受信: 2006年10月11日 (水) 03時52分

» 外務省の本性 [晴耕雨読]
1941年12月8日の「日米戦争」開戦が“パールハーバー騙し討ち”で始まったことが、米国民の敵愾心を激しく煽り、その後の日米戦から敗戦・占領までの対日政策に多大な影響を与えたことは間違いないだろう。 当時のルーズヴェルト政権が「真珠湾攻撃」を事前に知っていながら以降の世界戦略を有利に進めるために日本海軍の奇襲攻撃を放置したという問題は、米国民が解決すべき問題だと考えているのでここでは触れない。 ただ、9・11空爆テロでも明らかになったように、米国政権は、はなはだ人迷惑で低レベルな世界戦略を推進する... [続きを読む]

受信: 2006年10月15日 (日) 00時21分

» 「敗戦責任」の明確化を通じて [晴耕雨読]
> もし道が誤っていたら、責任を負う役割の人が「引き受ける」か「引き受けさせられる」。A級戦犯を靖国神社に祀り、悼むのも「引き受けさせられた人」というイメージがあるからではないでしょうか。 「引き受けさせられた人」という見方は、けっこう自分の好みに合うものです。 W.ブッシュ大統領のことをけちょんけちょんに書いたりしていますが、彼も、「引き受けさせられた人」だと考えています。 (その裏で糸を引く人や世界経済支配の頂点にある人も含めてそう考えています。罪は罪ですから、そうであっても、行ったことの免... [続きを読む]

受信: 2006年10月15日 (日) 00時22分

« 権力の犯罪 | トップページ | 礼状 »