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控訴審判決:その2(罰金刑で逃げる)

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一審の刑事裁判の過程において、弁護団が心配したことの一つに、裁判官が罰金刑で逃げるのではないか、ということがあった。

日本の裁判官は、無罪判決を出すことを極度に嫌う。
給与や人事で国の統制下にある国家公務員という立場に加えて、無罪率が統計上0.1~0.2%前後で限りなくゼロに近い現実に、社会的影響力の大きな無罪判決を出す勇気が、保守的な裁判官にないことによる。

従って、無実と思われる事件でも、罰金刑の規定のある犯罪では、それを科して無罪判決を避ける方法を取る。
罰金刑でも一応有罪ではあるが、資格停止等の社会的な不利益はないため、生活上の影響は全くといっていいほどない。
判決に不服でも、控訴、上告して争うことによる時間的、経済的な実質的不利益を考えると、上訴を断念した方がはるかに得である。被告の反発も抑えられる。
現実的な調整であり、裁判官の姑息な逃げの戦術である。

私の容疑の公務執行妨害罪は、従来、禁固刑、懲役刑のみで罰金刑の規定がなかった。
しかし、起訴猶予が多かった公務執行妨害、窃盗等の犯罪に、罰金刑を新設して法定刑を改めるため刑法の改正作業が進められてきた。
判決の時期によっては、罰金刑の導入された改正刑法の規定が適用される可能性が出てきたのだ。

一審判決は、刑法改正の前であったが、今回の控訴審判決は、今年4月に成立し5月から施行された改正刑法が適用されるため、罰金刑の判決が可能になった。
一審判決を破棄し、事実認定において被告人側の主張をほぼ全面的に認めながら、社会的影響の大きな無罪判決を避け、一応有罪である罰金刑を科すことで、高裁の裁判官に逃げられた格好になったわけである。


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