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控訴審判決:その1(破棄・有罪)

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昨日(11月27日)、名古屋高裁で刑事事件控訴審の判決があった。
主文は、一審判決を破棄し、被告人を罰金50万円に処す、というものである。
一審判決を破棄しながら、無罪ではなく、有罪判決を下すというめずらしい判決であった。

門野博裁判長は、一審判決における有罪の根拠となった被害者(竹山孝特別国税調査官)及び目撃者(河地隆雄特別国税調査官)の証言は全く信用できないとして、事実関係については被告人側の主張をほぼ全面的に認めたが、同時に、検察の請求した訴因の変更も認めて間接暴行を根拠に有罪判決を下したのである。

訴因の変更とは、当初の起訴事実を変更し、その変更した事実で有罪判決を求めるものである。
具体的にいえば、

<被告人は、平成16年1月23日午後2時25分ころ、名古屋市○○○○号室において、被告人の所得税等の調査に訪れた名古屋中税務署財務事務官竹山孝(当56年)に対し、「うそばっかつくな。」などと怒号しながら、その身体に向けて数本のカセットテープを投げつける暴行を加え、もって同財務事務官の職務の執行を妨害したものである。>
という一審における当初の起訴状の事実を、二審で、

<被告人は、平成16年1月23日午後2時25分ころ、名古屋市○○○○号室において、被告人の所得税等の調査に訪れた名古屋中税務署財務事務官竹山孝(当56年)に対し、「うそばっかりつくな。」などと怒号しながら、同人の傍らにあった応接コーナー用パーテーションに向けてケース入りのカセットテープを思い切り投げつける暴行を加え、もって同財務事務官の職務の執行を妨害したものである。>
という事実に変更して有罪判決を求めてきたのである。


高等裁判所は、事実誤認があるとして一審判決を破棄したものの、検察の請求した訴因の変更は採用し、竹山財務事務官の身体に向けて数本のカセットテープを投げつけたのではなく、パーテーションに向けて1本のカセットテープを投げつけただけであっても、公務執行妨害における間接暴行に当たり、故意も認められるとして、有罪判決を下したのであった。

ただ、刑は懲役6ケ月、執行猶予3年から、罰金50万円に大幅に減刑されている。

疑わしきは罰金刑で逃げる、というのが裁判官の常套手段だが、まさか二審でその手を使われるとは、予想だにしなかった。


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コメント

トラック・バックありがとうございます。
控訴審判決:その1(破棄・有罪)
を見て感じたこと。
□被告が税務署員に「嘘ばっかりつくな!」と憤った経緯があるようですが、どのように斟酌されたのか?
□憤らせるような税務署員の態度に問題はなかったのか?
□次元の低い一方的な押し付けがましい態度が見え隠れするようです。
□被告を起訴するなら、税務署員も職権乱用の疑いで取り調べたのか? なぜ起訴しなかったのか?
□昔から喧嘩は両成敗が原則。
□職権を笠にきた「虎威職員」の横柄さをまざまざと見る思いです。
□民間人を一方的に起訴する警察・検察の横暴はまさに組織的な「社会人いじめ」。
□裁判もおかしい? 訴因がかわれば、差し戻して審理すべきでは? 公判が維持できないような事件だったら却下でしょう?

投稿: 一人閑 | 2006年11月30日 (木) 09時56分

ご丁寧なコメントありがとうございます。
すべてご指摘のとおりだと思いますが、現実には裁判で勝たないことには、何ともなりません。
幸い、刑事事件は苦境には立っていますが、一歩前進し、民事事件では、勝機がはっきり見えてきました。
今後もご支援のほど、よろしくお願いいたします。

投稿: 管理人半兵衛 | 2006年11月30日 (木) 10時37分

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