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痴漢容疑で逮捕の高3「無罪」

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まずは昨日のニュースから。
 
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痴漢容疑で逮捕の高3「無罪」 東京家裁支部が不処分
2006年12月04日

電車内で痴漢をしたとして現行犯逮捕された東京都町田市の高校3年の少年(18)に対し、東京家裁八王子支部が「少年が痴漢をしたと認定できない」として、無罪に当たる不処分の決定をしていたことが分かった。久保田優奈裁判官は「供述調書は内容が一貫しておらず、捜査当局がでっち上げた可能性がある」と指摘した。

少年は、5月29日午前8時ごろ、学校に向かう電車内で突然、「この人、痴漢です」と、振り向いた女性(19)に指さされたという。
少年は警視庁成城署で、「認めなければ10日間、勾留(こうりゅう)され、学校には行けない」と言われたという。「10日も学校を休めば、痴漢で逮捕されたことも明らかになり、卒業できない。認めれば、釈放され、裁判所で処分を受けても学校には分からないだろう」。言われるまま、供述調書の作成に応じた。
父親は中学1年の時に病死しており、卒業して就職し、家計を助けたかった。一晩、留置所で拘束され、翌日、釈放された。母親(38)に「ドラマで見た取り調べと同じだった。悔しいけど退学になるよりマシだ」と伝えた。

審判で無実を主張した少年に対し、11月24日、東京家裁八王子支部は不処分の決定をした。
検察官の調書には、「被害者の女性が少年の手をつかんで『この人、痴漢です』と突き出した」とあったが、警察での少年の調書も被害者の調書も「少年を指さした」だった。また、両手で触ったとする調書と「手提げカバンを持っており、両手で交互に触った」とする調書が混在していた。

久保田裁判官は「調書は事実を記載したものではなく、捜査側が考案した内容である可能性が払拭(ふっしょく)できず、信用できない」と指摘。少年の供述の変遷についても、「卒業できないと言われて認めたが、その後、無罪を主張したという経緯は合理的で信用できる」として少年を不処分とした。

成城署の仲村鶴美副署長は「裁判所の決定文をまだ見ていないのでコメントは控えたい。適正に捜査したと考えている」と話した。

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この事件は、警察や検察が、日頃いかに人権を尊重していないかということを物語る事件である。

身柄を拘束された人間にとって、長期間の勾留と、仕事や学業への影響による社会的な抹殺を匂わされることは、肉体的な拷問と同じように応えるものである。
警察や検察は
、被疑者がほんとうに事件にかかわったかどうかより、目の前にいる被疑者をいかに落とすかということにのみ心血が注がれている。

警察での調書が、少年も被害者も「少年を指さした」となっていたのであれば、なぜ、検察官の調書に「被害者の女性が少年の手をつかんで『この人、痴漢です』と突き出した」と記載されるのか、理解に苦しむ。

所詮、検察官の調書は警察の調書の上塗りであるから、取調べの段階で、検察官は警察の調書をよく読んで内容を検討しているはずである。この段階で被害者の供述が警察での調書と違っていれば、少年の犯行を疑い、釈放すべきであって、そもそも審判に付すべきではないのである。
取調べの現場では、被疑者を人間と見ず、物としてしか見ていない証拠であろう。

供述内容の異なる警察と検察の調書を、わざわざ裁判所の審判に証拠として提出する検察官の愚かさにもあきれ返るが、成城署の仲村鶴美副署長の頭の悪いコメントにもあきれ果てる。
「裁判所の決定文をまだ見ていないのでコメントは控えたい」
というのであれば、
「適正に捜査したと考えている」
などと 、余計なことを言うなと言いたい。
コメントするのであれば、
「裁判所の決定文をまだ見ていないが、適正に捜査したかどうか慎重に調査して、しかるべく対応を厳粛に考えたい」
と言うべきだろう。


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コメント

事件や報道など、何事も一方向からのみ眺めていてはいけないものなのですね。
こちらのブログにて、いろいろとまた改めて考えさせて頂きました。
TBありがとうございました。

投稿: ウィドー | 2006年12月 7日 (木) 14時20分

コメントありがとうございます。
事件などのマスコミの報道は、当事者全員からの取材によるものではありません。警察等の国家権力側からの一方的な発表をそのまま流しているだけですので、かなり偏った報道になっています。
私の場合も、一審の民事で勝訴した新聞報道が、毎日、読売、中日の各新聞とも、全く同じところが事実と異なっておりましたし、敗訴についての国税当局のコメントも、事実を確認もせず自分たちに都合のよいようにコメントされておりましたので、ニュースをそのまま鵜呑みにはしないようにしています。

投稿: 管理人 | 2006年12月 7日 (木) 20時03分

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