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名張毒ぶどう酒事件に関して:その1

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三重県名張市で1961年、女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」で、死刑判決が確定した奥西勝・元被告(80)の再審開始決定に対する異議審で、名古屋高裁(門野博裁判長)は26日、検察側の異議を認め、昨年4月に同高裁が認めた再審開始の決定と死刑執行の停止を取り消した。
無罪へとつながる再審開始の是非をめぐり、同じ名古屋高裁が全く反対の判断を示すという異例の事態に、弁護側は決定を不服として特別抗告の方針を表明。審理は最高裁で続くことになる。
決定理由で、門野裁判長は「新旧証拠を検討しても、奥西元被告が犯行を行ったと十分認定することができ、自白の信用性も高い。確定判決の事実認定に合理的な疑問は生じない。(再審開始を認めた)決定は誤っている」と述べた。

まさか、という決定である。
一度認めた再審開始決定を、同じ名古屋高裁が取り消すとは。
奥西元被告の年齢とこれまでの勾留期間を考慮すると、公権力による著しい人権侵害に、激しい怒りを禁じ得ない。

この「名張毒ぶどう酒事件」の弁護団には、私の知人の弁護士もかなり以前から加わっており、他人事とは思えない事件であった。
しかも、決定を取り消した門野博裁判長は、私の控訴審判決で一審の有罪判決を破棄しながら、控訴審での検察による訴因変更を認めて有罪判決を下した、いわくの裁判長である。

「名張毒ぶどう酒事件」では、農薬の混入されたぶどう酒の王冠の歯型が、犯行を裏付ける唯一の物証とされ、その鑑定結果をめぐって一審は無罪、二審以降は、逆転の有罪死刑判決となっている。
その後の再審請求で、弁護団は王冠の新たな鑑定結果などを提出し、今回の第七次再審請求でも、ぶどう酒の開栓実験や農薬の成分鑑定などを新証拠に提出していた。

その結果、名古屋高裁は弁護団の主張をほぼ受け入れて一度は再審開始を決定したが、検察の申し立てによる異議審でそれが取り消されてしまったのである。

本事件では、鑑定結果が非常に重要な証拠になっており、異議審でも弁護側の鑑定結果の評価が大きな争点となったので、ジャンルは違うものの、同じ鑑定士という立場から、鑑定についての実態をまじえて意見を述べてみたい。
                                          以下続く

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