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愛国心:その2

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コメントでも述べたように、愛国心の本質が何であるかというと、私も断定できるほど自信のある見解は持っていない。
愛国心というのは、心の問題であるから、愛国心の本質を語るのは、宗教の本質を語るのと、ある意味同じではないかと思う。それほど難しい問題だからである。
私がこうだと言えば、多くの賛成意見があるかもしれないが、同時にそれと同じぐらいの異論、反対意見も出てくるはずである。

私が、今回の教育基本法改正を批判した理由も、この点にある。
法律は手続きであるから、賛否両論のある内容の法律を、十分な審議をせずに、「やらせ」のタウンミーティングで国民を騙し、数の力でごり押しして成立させるようなやり方が、まず問題なのである。

たとえ、殺人のような凶悪事件でも、逮捕、起訴に至った手続き、証拠を押収した手続き等が違法であれば、その犯人が実際に犯行を行っていても、刑事訴訟法上、有罪にはできないのだ。それほど法律は、手続きを厳格視している。

愛国心が必要だという点では、多くの国民に異論はないはずである。国を愛することは美しいことであり、それ自体に異論を唱える者は、極めて少ないと思う。

ただ、愛国心の概念がはっきりしないのに、それを法律に盛り込んで、しかも数の力で慌てて改正しなければならなかったのか、ということである。
愛国心の概念がはっきりしなければ、それを運用する側に都合よく利用されるのは必然だ。

学校での愛国心教育について、安部首相はそれを成績として評価するという考えを述べていたが、愛国心は心の問題であるから、それを評価するとなると、内面の心の中まで立ち入らなければならなくなる。

心の中まで行政が立ち入ることが、はたして、許されるべきことかどうか。

たとえば、人を殺したいとか、人の物を盗りたいとか思っても、思っただけでは処罰されない。現代はどこの国家も、心の中まで法律で処罰するようなことはしていないのだ。
信仰の自由が認められているのも、同様に心の問題だからである。

学校で愛国心を成績評価するというのは、人の心の中まで縛るということである。
実際上は、心の中まで立ち入って評価できないから、外面の姿勢や態度で評価するしかない。そうなれば、国旗掲揚や君が代唱歌時の態度、国家的儀式や国家への忠誠心の態度等で判断されることになる。

どこの国でも、教育というものは、国の都合のよいように行われている。
国が目的なく、教育方針を定めたり変えたりすることなどありえない。今回、愛国心を前面に出した改正が、どのような目的でなされたか、ということである。

「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」とともに、「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」と謳っているが、愛国心をやたら叫ぶ人間ほど、愛国心に欠けており、他国を尊重せず、攻撃的な言動をする傾向が強いことを憂慮して、改正に踏み切ったのか。


それとも、一等地の豪華な官舎に愛人と入居して血税を食いつぶす本間正明政府税調会長のように、政府与党関係者の愛国心のなさを憂いて、美しい国づくりのために改正に踏み切ったのか。
あるいは、憲法を改正して軍事力を強化するための布石として、急いで改正に踏み切ったのか。

改正教育基本法の成立した過程を客観的に考察すれば、その答えは自ずから明らかではないだろうか。

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コメント

はじめまして。TBありがとうございます。
なぜかこのところ、cocologにTBが通らないため(前はOKだったのですが)コメントさせていただきます。
わたしは、愛国心は結果としてありうるかもしれないけれど、それ自体目標や目的にはなり得ない、と考えています。

また、すでにお読みになっているかもと思いますが、姜尚中さんの著書『愛国の作法』が、「国を」「愛するとは」という観点で詳細な議論を展開されています。
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002637
や、
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002789
でもその本を書かれた動機が詳しく書かれています。

投稿: Rolling Bean | 2006年12月19日 (火) 00時01分

コメントありがとうございます。
「愛国心は結果としてありうるかもしれないけれど、それ自体目標や目的にはなり得ない」とのお考え、私も同感です。
姜尚中さんの著書『愛国の作法』は、不勉強のため、私はまだ読んでおりません。ぜひ読んでみたいと思います。
今後とも、ご指導のほど、よろしくお願いいたします。

投稿: 管理人半兵衛 | 2006年12月19日 (火) 01時15分

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