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控訴審裁判:その4(資格停止)

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控訴審における罰金刑の判決は、私の一身上にも影響がある。

一審判決は、懲役6ケ月、執行猶予3年であった。
これは、私のような国家資格者にとっては、職業上、致命的な痛手となる。
法律上、不動産鑑定士は、刑事事件で禁固以上の刑に処せられた場合、執行猶予期間中は、業務を行ってはならないことになっているからである。

不動産鑑定士といっても信用商売である以上、3年間も業務が停止されれば、事実上廃業したに等しくなる。

当初、罰金刑の規定のなかった公務執行妨害罪での本裁判では、裁判官に罰金刑で逃げられる心配がなかった代わりに、無罪以外は許されないという大きな重圧が弁護団に重くのしかかっていた。それは、こうした事情があったからだ。

今回の罰金刑への減刑は、そういった職業面での不利益を払拭することには役立ったわけである。

だが。
私は、逮捕されたとき、不動産鑑定士の道に入って、すでに20余年経過していた。
仕事では誰と比べても決して劣るとは思わなかったが、かといってこの業界で自分が必要不可欠かといえば、そうでもない。自分の代わりなど、いくらでもいる。
役人にぺこぺこして頭の上がらない業界の人間に幻滅していたし、保守的で閉鎖的な考えしかできない同業者の多いことにも嫌気をさしていた。
ひとつのことを長くやればよいというものでもなく、長すぎればマンネリ化して堕落していくのが、人間の常である。よくぞ、20年以上も続けてこれたものだと、自嘲していた頃でもあった。
定年のない世界であるが、定年がないからこそ、逆に自ら引き際を考えなければならない。
短い人生である。自分は、何のために生まれてきたのか。
地位や資格や既得権益にしがみつくために生まれてきたわけではない。自分がやらなければならないことは、何かほかにあるのではないか。
そんな思いにとらわれていた時期でもあった。

0弁護士から、有罪になると資格が停止されるという指摘を受けたときも、
「資格停止のことは全然気にしていませんから」
と答えたが、これは、表向きの強がりでも、弁護団に必要以上のプレッシャーをかけまいとする配慮でもなく、当時の心境から正直な胸のうちを語っただけである。

有罪になって資格が停止されれば、それを機会に新しい人生が開けるかもしれない。
そんな思いでいただけに、資格停止を払拭する今回の罰金刑の判決には、複雑な感慨がある。


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コメント

半兵衛さん側の実質無罪を認めながらも、最低限 国の面目を保つための判決といったところでしょうか・・
私は専門的なことは何もわからないながらも、権力者相手にこの判決なら一応満足していいんじゃなかという気がします。
以前に書かれてたように、直接かかわった国税側当人たちに対しても左遷等、実質的に非を認めて処分されたようですし・・・
窮鼠猫を噛む、という言葉は適切じゃないかもしれないけど、多少の逃げ道を与えてやったということで、この裁判の結果には胸を張ってもいいんじゃないかと・・・
それにしても、三年も仕事を禁止されたりしたら、せっかくこれまで築きあげてきたものが台無しになって、お客さんみんな去られちゃいますよね(^。^;;
こちらを見させてもらって、取調べの実態や、法律的な面などいろいろと勉強になりましたm(__)m

まだ完全に終わったわけではありませんが、最後まで気を抜かれずがんばってくださいね。

投稿: ゴーヤン | 2006年12月 1日 (金) 19時00分

コメントありがとうございます。
一審判決を破棄して、被告人側の事実認定の主張を全面的に認めながら有罪という判決に、当日傍聴に来ていた朝日新聞の記者も、めずらしい判決ですね、と驚いていました。
弁護団も、有罪とはいえ大きな前進だとして一応の評価はしておりましたが、私は、即日、上告の手続きをしました。
民事では、ほぼ勝訴が確定したようなものですが、刑事でも無罪の確率がゼロではない以上、最後の最後まで闘い抜くつもりです。
今後とも、ご指導、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

投稿: 管理人 | 2006年12月 2日 (土) 04時09分

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