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愛知県との仁義なき闘い:その5

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誤って削除した記事を復元しました。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。

1週間ほどして愛知県から文書による回答があった。

○○○○様
                                                              愛知県企画部土地利用調整課長

○○年○月○日付けで知事あて照会のありました県地価調査の鑑定評価員の指名選任の件につきまして、本職において、同調査の受託者である(社)日本不動産鑑定協会からの推薦を受けた不動産鑑定士のうちから適任者を指名選任することといたしておりますのでご了承ください。
なお、鑑定評価員の指名選任に当たり、不動産鑑定士に対する当課職員の怨恨その他不正行為は存在せず、ましてこれらが介在する余地はないことを申し添えます。

予想したとおり、当たり障りのない回答だった。
だが、それなりに効果はあった。

何日か経って、また尾藤鑑定士から電話があった。
相談したいことがあるという。
相談の内容は、森田愛知県部会長に対する懲戒の請求を取り下げてくれ、ということだった。

いくら、人望が厚く、私のことを親身になって心配してくれる尾藤鑑定士の頼みといえども、こればかりは、ただでは引き下がれなかった。

会うと、尾藤鑑定士は言った。
「村瀬課長補佐が土地利用調整課から替わった。君とやりあった山森という職員も替わったよ」
「えっ?」
私は尋ねた。
「君の件が原因だ。課長も替わったが、村瀬課長補佐なんかは、分室に異動だよ。わしを見るなり、尾藤さん、俺やんなったよ、とすっかり元気をなくしとった」
そう言って、彼は笑った。
「そうですか」
「君はやつらとの喧嘩には勝ったんだ。どうだい、ここはひとつ妥協してくれないか」

一息ついて、彼は言葉をつないだ。
「県に対しては、鑑定士なんて弱いものだよ。前にも言ったが、仮に森田県部会長の立場だったら、わしでも県の要求を突っぱねれたかどうか自信がない。それほど、やつらの圧力は強いんだ。どこの業界でも、監督官庁の役人に楯突ける人間はいない。そんなことしたら、その業界では生きていけなくなるんだよ」
「………」
「もちろん、個別に謝ったぐらいでは、君が納得しないこともわかっとる。どうだね、今度の総会の席上で、みんなの前で彼に謝罪させるという条件で、取り下げてくれないか」
そこまで言われると、取り下げないわけにはいかなかった。

地価調査の評価員は外れたが、尾藤鑑定士の言うように、木っ端役人との喧嘩には勝ったかも知れない。
怨恨その他不正行為は存在せず、ましてこれらが介在する余地はない、という回答だったが、不正行為の存在を認めたことを前提とする人事異動が行われたのだ。
それに、喧嘩の発端になった第三鑑定の報酬が、その後まもなく、倍以上に跳ね上がったのである。報酬が安すぎるという私の主張を、結果的に受け入れたということだろう。

その後のバブル経済による地価高騰で、第三鑑定の評価員は、大変懐が潤ったのだが、むろん、私にはその後復帰した地価調査の仕事以外は、ついに県からはただの1件も仕事がこなかった。

ただ、その後の地価調査の業務に関して、県の職員と接触しても、私に対しては横柄な態度をとることはなくなったし、鑑定協会の役員連中も、面と向かって理不尽なことを言ってくることもなかった。

もともと、裸一貫。
理不尽なことで信念を曲げるぐらいなら、仕事を辞める覚悟でいたのだが、信念を曲げずに支障なく仕事が続けられたのは、非常に幸運だったのかも知れない。

郵政民営化に関して、自己の利益のためなら、いとも簡単に信念を曲げる復党議員の節操のない行動等が映し出されていたが、私にはとても理解できない行為である。

理不尽な行為や他人の圧力では、絶対に信念を曲げない。
それは、今も私の信条になっている。


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コメント

こんにちわ^^

また半兵衛さんの奮闘記復活ですね!
5話一気に読ませていただきました。
ちょうど、国税の時と同じような対応をしてきたということでしょうか。
表向きでは非を認めず、人事異動で処分のような感じですね。
そのあとも、表向きは笑顔で?通しながら、裏で一切仕事を回さないといったあたりの仕打ち、よくわかるような気がします。
自分らが悪かったことがわかっていても相手を逆恨みするってのは、官庁に限らず世の中全体がそんな仕組みですよね(^。^;;
(それでも民間ならともかく、公職の人間がそういうことは本来絶対やってはいけないことやけどね)

人間に生まれてきて一度っきりの人生、損得関係なく自分の信じたことを貫き通すってのは、なんといっても生きていて充実感があると思います。
うちの父もそういったタイプの人間で正義感が強く、損ばっかりしてましたねw
昨年亡くなりましたが、そんな父を尊敬しています。

投稿: ゴーヤン | 2007年1月12日 (金) 00時22分

ゴーヤンさん、いつも丁寧なコメントありがとうございます。
「人間に生まれてきて一度っきりの人生、損得関係なく自分の信じたことを貫き通すってのは、なんといっても生きていて充実感があると思います」
というお言葉、非常にいい言葉だと思います。私も、自分自身の損得や周りのことを考えて安易に妥協してしまう傾向があるのですが、心の中では、その気持ちを常に忘れないようにしています。
正義感の強い尊敬するご尊父がお亡なくなりになったとのこと、お寂しい限りだと思います。お悔やみ申し上げます。
ゴーヤンさんのブログ記事にあふれる、権力の不正を許さない反骨精神は、ご尊父ゆずりだったのですね。

私の父は、私が物心つかないうちに亡くなってしまいましたので、父の思い出は数えるほどしかありません。
晩年は世をすね、酒びたりの生活で、それがもとでなくなってしまったのですが、母の話では、権力に迎合せず、思ったことを主張する性格だったと聞いています。
あの戦時中に、この戦争は間違いだ、日本が負けると言いふらし、憲兵に何度かしょっ引かれて痛い目にあっても、批判をやめなかったそうです。
不良軍人ということで、除隊にもなったそうですが、かっての戦時下のような軍国主義の状況で、はたして、私が父のように自分の意思を貫けるかといえば、はなはだ自信がありません。
そういう意味では、立派な父だったと思います。


投稿: 管理人 | 2007年1月12日 (金) 12時26分

w(゜o゜)w オォー
そんなことがあるんですかっ!
記事を消してしまったら、てっきりそのコメントとかも一緒に消えてしまうのかと思ってたんでまた一つ勉強になりましたw
半兵衛さんのお父様もすごい方だったんですね!
わたしなんかは小心者で、ちょっと脅しかけられたりしたらすぐひるんでしまいそうです(^。^;;
政治家なんていうのは、そういう人にこそなってもらいたいもんですよね!

投稿: ゴーヤン | 2007年1月14日 (日) 21時52分

ゴーヤンさん、こんばんわ。
新規記事の原稿を、記事の作成欄ではなく、すでに公開している既存の記事欄で作成してしまい、途中でうっかり保存を押してしまったのです。
そのため、新規原稿作成の段階で消した従来の記事が削除されてしまいましたが、コメント、トラックバックはそのまま残ったというのがいきさつです。
新規記事を完成間近で消してしまったことは、今まで何度かあるのですが、公開済みの既存の記事を消したのは今回が初めてで、非常に慌てました。

政治家の話ですが、気概や信念が欠落し、生活の手段である職業として携わっている者がほとんどであり、まったく嘆かわしい次第です。

投稿: 管理人半兵衛 | 2007年1月14日 (日) 23時27分

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