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愛知県との仁義なき闘い:その1

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今から20年ほど前。
独立開業してまもない頃のことで
ある。
不動産鑑定業者の監督機関を自認する愛知県の土地利用調整課(当時)と全面的な喧嘩になった。

ことの発端は、国土法による土地売買の届出に関して添付した私の鑑定評価書の価格をめぐってである。


当時私は、土地を購入しようとする不動産業者から依頼を受けて、国土法による届出書とともにその価格の根拠となる鑑定評価書を、窓口である土地利用調整課に持参した。
窓口の若い担当者は、私の鑑定評価書の内容を検討することもなく、評価額だけ見て、
「高すぎる。こんな価格では通らない」
と、言ってきた。
仮にも、評価の専門家である不動産鑑定士の私に、評価の素人である木っ端役人が偉そうな口を利いてきたのである。

当時は、
日本経済が、円高不況を経て、バブル経済へ突入しようとしていた時期であった。カネあまりから、だぶついた資金が不動産に向かい、地価が急激な上昇を見せ始めていた。
時代が変動するときは、保守的な体質を持つ役所では、その変化についていけない。
不動産の価格についても同様で、各役所が把握していた地価は、実勢価格と大きな乖離が生じており、現実離れした価格となっていた。

私は、地価が上がっており、評価対象不動産の周辺でも実需による高い取引事例が多くあり、今では、その評価額が適正な価格になっている旨を説明した。

しかし、その担当者は、
「第三鑑定が出ている」
と言って、私の話をまともに聞こうともしなかった。

第三鑑定というのは、届出価格を審査する側の役所から不動産鑑定士に依頼した鑑定評価で、国土法の届け価格を審査する際の参考とするためのものである。

審査機関の自治体は、意図的に低い価格を提示して地価の抑制を図っていた。役所から依頼を受けた鑑定士の大半は、その方針に適う低い評価額しか出さなかった。
役所が政策的に価格を誘導していたこともあったが、当時の愛知県の第三鑑定の報酬料が安すぎたこともある。

採算の合わない仕事を手間隙かけて詳しく調査するより、希望価格に近い評価額を出して適当に作業を済ませたほうが割に合う。依頼者である役所の希望に適う評価なら、問題になることもない。
「報酬が安いのに、馬鹿らしくってまともにやってられるか」
というのが本音であり、現に第三鑑定を担当していた鑑定士は、顔を合わせるたびに、陰でそのように愚痴っていた。

「第三鑑定は報酬が安いから、いいかげんな仕事もありますよ」
と、私は言った。
第三鑑定の実態を説明し、その評価が絶対というわけではなく、それが出ているのなら、その内容と私の鑑定書の内容とを詳しく比較検討して判断すべきではないか、という趣旨で説明しようとしたのである。

すると、その担当者は、
「おたくは、地価調査はやってみえるんですか」
と聞いてきた。

地価調査というのは、公示価格と同じような性質のもので、役所が毎年全国の土地価格を調査して公表する公的な土地価格で、固定資産税や相続税の基礎価格にもなっている。
公示価格は、地価公示法という法律に基づき、国(国土交通省:当時は国土庁)が全国に多くの標準地を設けて、毎年1月1日時点の価格を不動産鑑定士に調査させ、その結果を3月末に公表している制度である。
一方、地価調査は各都道府県が主管し、毎年7月1日時点の価格を不動産鑑定士に調査させ、その結果を9月末に公表しているものであり、公示価格を補完する役割を担っている。
その地価調査の評価員として、業務を担当しているのか、というのである。

「やってますよ、それがどうかしたのですか」
と、私は答えた。
「お辞めになったらどうですか、地価調査を」
「なぜですか?」
「第三鑑定は報酬が安いから、いいかげんな仕事だというのなら、地価調査も同じでしょう。6万円程度じゃないですか。いいかげんな仕事してるんでしょ、地価調査も。お辞めになったらどうですか」
「第三鑑定の報酬は1回の仕事に対しての報酬でしょう。地価調査は1ポイント6万円でも、1回の仕事で15~6ポイントあるから、同じではないじゃないですか」
「同じでしょう。地価調査は半年近く拘束されるんだから、とても採算に合わないでしょう。お辞めになったらどうですか」
と、その担当者は、二言目には地価調査を辞めたらどうかという言葉を繰り返した。

言葉使いは丁寧だが、不動産鑑定士の監督官庁で、地価調査の仕事をくれてやっているのに、何を偉そうな口を利くのだという傲慢な態度が、ありありと現れていた。
30歳そこそこだった私を、若造と思ってなめていたこともあったろう。

「採算に合うか合わないかは、こっちが判断することでしょう」
担当者の横柄な態度に腹が立ってきたが、まだ私は、冷静に対応していた。
「だから、判断したんでしょ?報酬が安ければいいかげんな仕事になるって。辞めなさいよ」
その担当者は、くどかった。屁理屈を述べるだけで、人の話を聞く意思など全く感じられなかった。

我慢の限界が来た。
私は、その担当者を睨みつけて言った。
「辞めろ、辞めろと、あんたにそんなこと言う権限あるのか!」
私の剣幕に、その担当者は口ごもった。

「届出価格の話をしとるんだろう!地価調査を辞めろだと!そんなこと何の関係があるんだ!」
次第に声が大きくなった。

「あんたの仕事は何なのだ!国土法の届出の審査か、地価調査の評価員の審査か、どっちなんだ!」
「‥‥‥」
「自分の仕事がやりたくないのなら、上司を出せ!」
私はカウンター越しに、ついに怒鳴った。

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