真っ向勝負

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名古屋中税務署に電話をかけると、総務課長席付の加藤という職員が応対した。
署長に取り次ぐことは、一切できないと言う。そこで、辰巳総務課長に電話を回してくれるよう伝えたが、辰巳総務課長も主張中で留守だという。署内勤務がほとんどの総務課長までが主張中だと言うのだ。居留守を使っていることは明らかだった。

私は、竹山孝財務事務官(特別国税調査官)が当方のつぼを割りながら、謝罪も弁償もせずに逃げ帰った経緯を説明した。そして、責任者と話し合いがしたいから、必ず電話をしてくれるように言付けを頼んだ。
しかし、その日一日待っても、中税務署からは電話がなかった。
予想できたことでもある。今まで、国税庁長官や名古屋中税務署長あてに抗議の請願書を6回も送付したが、ただの1度も返答がなかったからである。

どうしてくれよう。このまま、握りつぶすつもりだろうか。しかし、事実だけは伝えておかなければばならない。

翌日、寺沢辰麿国税庁長官に通告書を送付した。
まず、古賀事件を握りつぶし、法律に基づくいく度かの請願に一切対応しなかった。あまつさえ、不当な税務調査で報復し、つぼを割って謝罪も弁償もしておらず、これらの不正行為に対する抗議をすべて無視するという今までの行状を指摘した。
そして、請願を誠実に処理してもらうため、つぼを割った証拠写真を同封して全国の官公庁に請願書を送付する。次いで、その張本人の竹山財務事務官を器物損壊罪で告訴するとともに、国家賠償法の規定による損害賠償を求め、更に、積極的、消極的に本件事件にかかわった国税庁長官や名古屋中税務署長の責任を厳しく追及する旨を伝えた。

国税庁長官に上記通告書を送付した後、当該通告書のコピーとともに、竹山財務事務官と河地財務事務官の顔が写っている、つぼ破損の現場写真を同封して、関係官庁に片っ端から郵送した。
郵送先は、次のとおりである。
総務大臣 麻生太郎
財務大臣 谷垣禎一
財務副大臣 山本有二
財務副大臣 石井啓一
財務省事務次官 林正和
財務省大臣官房長 藤井秀人
財務省理財局長 牧野次郎
財務省主計局長 細川興一
財務省主税局長 大武健一郎
財務省国際局長 渡辺博史
財務省関税局長 木村幸俊
財務省財務官 溝口善兵衛
東京国税局長 東正和
名古屋国税局長 竹田正樹 

これだけ郵送すれば、何らかの返答があるだろうと思ったが、見事に何の返答もなかったのである。官僚どもは、一体何の仕事をしているのだ。働いていないのか、それとも、都合の悪いことは一糸乱れず完璧に隠しきる徹底した組織の統一が図られているのだろうか。いずれにせよ、不気味な集団である。

一週間経っても何の返答もなかったため、私は、通告どおり名古屋簡易裁判所に、国家賠償法に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。破損したつぼ代5万円に慰謝料15万円を上乗せした訴訟額20万円の控えめな請求である。平成16年2月2日のことだった。

同時に、訴状のコピーを谷垣財務大臣、寺沢辰麿国税庁長官、林正和事務次官、大武健一郎主税局長、竹田正樹名古屋国税局長らに郵送した。

もはや、一歩も後には引けなかった。真っ向勝負である。

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つぼ破損事件:否認逃走2

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「つぼを割っておいて、弁償もせずに逃げるのか!」
私は、持っていたカメラで立ち去ろうとする竹山孝財務事務官(特別国税調査官)を撮影した。
竹山財務事務官の顔や、割れて床の上に固まっているつぼの破片などを写したが、逃げ出すのが早かったため、3枚しか写せなかった。1枚目は、土間の部分で靴と履き替えるときの横顔を写した。2枚目は破損したつぼのかけらのかたまり部分を、3枚目は竹山財務事務官が事務所の扉を開けて外へ出て行こうとする後姿を撮影した。

竹山財務事務官が事務所から立ち去ってしばらくすると、隣の応接室から河地隆雄財務事務官(特別国税調査官)が事務室の方へ歩いてきた。脱いでいたコートを着込み、左手にはカバンを持っていた。
玄関へ向かう手前で、カメラを持って立っていた私と視線が合った。
「竹山がつぼを割ってしまって申し訳ありません」
と、謝罪するかと思ったが、河地財務事務官も謝らなかった。謝らなかったどころか、
「テープなんか投げてはいけませんよ」
と、捨てぜりふを吐いて立ち去ろうとしたのである。
(なんだ、こいつら)
自分たちの非は一切認めようとせず、非はすべてお前にある、というような言い方だ。つぼを割っておきながら、謝罪もせず、人に責任をなすりつけようとする二人の態度に、このときばかりは殴りつけたい衝動にかられた。

私は、すぐに河地財務事務官の顔をカメラで写した。
河地財務事務官も、一言発しただけでそのまま玄関へ向かった。
私は、爆発しそうな感情を抑えながら、悠然と背を向けて帰っていく河地財務事務官を撮影していた。

二人が事務所を立ち去った時、壁にかかっている時計を見た。午後2時25分を指していた。
事務室では妻が机に向かって事務の仕事をしており、つぼが割れてから二人が立ち去るまでの一部始終を見ていた。
妻は、つぼが割れたときの大きな音に驚いて顔を上げ、その現場を見たが、つぼを割った行為より、そのあとの、つぼを割ったことに二人とも全く触れずに、当たり前のように帰って行った異様な光景に、むしろ驚いていた。

これは夢か。まぎれもなく、現実であった。

二人の異常な行動について妻と言葉を交わした後、割れたつぼの破片がかたまっている部分を、角度をかえて6枚撮影し、フイルムを巻いた。
隣の応接室へ行くと、私の座っていた横のソファーの東側に、カセットテープのケースの破片が散らばっていた。テープの当たったパーティーションの中央部に目を近づけて見ると、キズとともにプラスチックケースの細かい破片が一つ突き刺さるようについていた。
その状況を眺めているうちに、河地財務事務官が帰りぎわに吐いた捨て台詞を思い出し、念のためにと、新しくフイルムをカメラに装填し、破片の飛び散っている辺りや、パーティーションのキズのついた部分を計14枚撮影した。

しばらく気持ちを静めた。3時頃になって、興奮していた心がやっと落ち着いてきた。
落ち着きを取り戻した私は、名古屋中税務署に抗議の電話をかけた。

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つぼ破損事件:否認逃走1

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カセットテープをパーティーションに投げつけると、私はその場で立ち上がった。それに呼応するように、向かいのソファーに座っていた河地財務事務官も立ち上がった。
「何が嘘か!携帯電話の番号を教えると、営業妨害になる言うて、教えてもろてないやないか!」
竹山財務事務官は、関西弁なまりのきつい口調で言い返してきた。
「営業妨害?携帯電話の番号を教えることが、なぜ営業妨害になるのだ。いいかげんなことばっかり言うな」
私も言い返した。
電話を頻繁にかけられて営業妨害になるのは、事務所の一般電話の方である。携帯電話の場合は、都合が悪くなれば電源を切っておくとか、バイブにして電話に出ないようにするなど対処方法はいくらでもある。
以前、携帯電話の番号を尋ねられた時、電話番号を教え、同時に、会議中のような場合には、すぐには出られないこともあるからと、わざわざ気を使って連絡が遅れる場合の説明もしているのである。
竹山財務官は番号をメモし、まあ、この電話にかけることは、あんまりないですけどね、と言っていたのだ。それを忘れているのか、知っていてとぼけているのかわからなかったが、反発の仕方が尋常ではなかった。

「だいたい、今日はしっかり説明するという話じゃなかったのか。もともと、説明する気などなかったのだろう。難癖をつけて調査を打ち切り、更正処分する魂胆じゃなかったんか!」
私は、竹山財務事務官を睨みつけて更に追及した。
竹山財務事務官に、困惑するような雰囲気が見られた。
それを見て言葉を休め、傍らの河地財務事務官の方へ一瞬視線を移した。
その一瞬のスキを見計らったように、竹山財務事務官は背を向け、応接室から玄関に通ずる隣(北側)の事務室の方へ立ち去った。

その時である。
「ガッシャーン」
という大きな音が聞こえた。
「何をしたんだ!」
私は反射的にカメラを手に持ち、事務室の方へ駆けつけた。

見ると、玄関の方を向いた竹山財務事務官の足元に、割れたつぼの破片がかたまっていた。その状況から、竹山財務事務官が腹立ち紛れに、玄関付近に飾ってあった装飾用のつぼをたたき割ったものと判断した。
「なぜ、割るんだ」
私は、割れたつぼの破片を指差し、竹山財務事務官に問い詰めた。
すると、竹山財務事務官は、
「私、割ってませんよ」
と、人を小馬鹿にしたような態度で否定した。
否定するなり、そのまま玄関の方へ逃げだしたのである。

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つぼ破損事件:口論4

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「だいたい、古賀職員の件もそうだ。竹山さん、あんたがやらせたんじゃないのか。中川税務署員だと嘘をついて、どんなことをしてくれたんだ」
私は腹が立ち、古賀事件のことも持ち出した。

すると、それまで元の位置に座ったまま、二人のやりとりを黙々とメモしていた河地財務事務官が、突然口を挟んできた。
「それはですね、嘘をついたわけじゃないですよ。古賀は正しい理由があって、中川税務署員を名乗ったのですよ」
それを聞くなり、
「なぜ、あんたがそんなことを知ってるんだ!」
と、私は河地財務事務官を睨みつけて言った。
「こっちは、署長に抗議したのだ。何回抗議しても何の説明もなかったくせに、今更何を言い訳するんだ。正しい理由があったなら、なぜ、今まで言わなかったんだ。古賀職員の件が出たら、こう言えと署長に言われてきたのか」
河地財務事務官は黙った。
「それに、こっちはほかの税務署員を名乗ったことより、ものの1時間程度で7~8回も電話をかけてきて、人の仕事を邪魔したことを問題にしてるんだ」
名古屋中税務署や国税庁の今までの対応ぶりが想起され、私もやや興奮ぎみに反論した。
河地財務事務官は黙ったまま、口を開こうとはしなかった。

私は、竹山財務事務官の方へ視線を戻した。
「署長にしても、総務課長にしても、人の話は全く聞かずに、こそこそ汚いまねばっかりして。このあいだの臨宅通知書でもそうだが、留守を狙って証拠作りをするような汚いまねをするな。そんなに急ぐなら、携帯電話にでも電話すればいいじゃないか」
と一気にまくし立てた。
すると、竹山財務事務官は、
「携帯電話の番号なんか、教えてもらってないじゃないか」
と、人を小馬鹿にしたような態度で否定してきた。
その態度と、またぬけぬけと嘘をついてくる厚かましさに、私は一瞬かっと頭に血がのぼった。
と同時に、私が座っていたソファーの右ひじ掛けの上に置いてあったカセットテープを1本つかんでいた。
それを、竹山財務官に投げつけてやりたい衝動にかられ、手を振りかざしたが、
「うそばっかりつくな!」
と言って、私が座っていた右側(西側)のパーティーションの南角あたりを目がけて、座ったまま投げつけた。竹山財務官の立っていた方向とは、違う方向である。
大人気ない行動ではあったが、こういう状況下で燃え上がった心を静めるには、物に当たるしか方法がなかった。

投げつけたカセットテープは、そのパーティーションの中央に当たり、プラスチックケースが割れてその破片が一人掛け応接ソファーの東端あたりに散らばった。カセットテープの当たったパーティーションは、表面はクロスが張ってあるものの、本体の材質は硬い金属製のため、予想外の割れ方だった。

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つぼ破損事件:口論3

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「今日はしっかり説明していただけるという話でしたが、こんなことでは、またいいかげんな説明しかしてもらえないかもしれませんな」
私は、カセットテープレコーダーから竹山財務事務官との電話の内容を録音したテープを取り出し、新しいカセットテープに入れ替えた。
そして、
「しっかり説明していただくため、今日の説明の内容を録音させていただきますよ。いいですか」
と言って、テープレコーターをセンターテーブルの上に置いた。

すると、竹山財務事務官は、
「説明をテープで録音するなど、普通の状態じゃない。調査を終わりにする!」
と怒ったように言い、カバンとコートを手に持ち、帰ろうとして立ち上がった。
私は慌てた。
「しっかり説明すると言っておきながら、途中で帰るんですか!」
私は咄嗟に、帰ろうとする竹山財務事務官を、座ったまま持ってきたカメラで撮影した。
連続で2回シャッターを押した。デジタルカメラではないから、きれいに写っているかどうか確認できなかったが、1枚目は竹山財務事務官が立ち上がって横を向き、河地財務事務官の方へ移動するところを写しており、2枚目は河地財務事務官の席まで来たとき、席から立ち上がって持っていた書類で自分の顔を隠した河地財務事務官と一緒のところを写した。

竹山財務事務官は、そのまま応接ソファーから離れて行き、隣の事務室との境にある扉を開けて応接室から出て行こうとした。
が、何を思ったのか、向きを変えて一、二歩応接ソファーの方へ戻ってきて、立ち止まった。

「写真を撮るとは何事ですか!写真を返しなさい!」
と、竹山財務事務官は、激しい口調で言った。
「あんたが途中で帰るからじゃないか。説明しないのか!」
私の口調も激しくなった。
「写真を撮ったりして、そんなのは普通の状態じゃあない。調査を打ち切って更正処分を行いますが、いいですか」
「いいかげんな調査をして、嘘ばっかりつくのが普通の状態か。更正処分?やるなら、やってみろ。説明もせんと、職務怠慢じゃないのか!」
私も言葉を返した。
「いいかげんな調査とは何事ですか!私がどんな嘘をついたと言うんですか」

何を白々しくぬかすのだ、と私は思った。
署長同席のもとで説明することに同意しながら、約束をほごにし、しかも同意したこと自体否定しているではないか。当初の調査結果の説明では、詳しく調べていたら時間がなくなるとか、よくわからないから課税するとか言っておきながら、後になってそんなことは言っていないなどと否定しているではないか。現に今も、しっかり説明すると言いながら、難癖をつけて説明していないではないか。
これらを嘘と言わずに何と言うのだ。
今まで、都合が悪くなると、そのつど平気で嘘をついてきて、私がどんな嘘をついたのだ、とはよく言えたものだ。

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つぼ破損事件:口論2

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「ぜんぜん変わってないじゃないですか。また、嘘ばっかりつくんですか」
私は、先日の電話の内容も持ちだした。
調査結果金額を提示してきた12月12日の説明が、詳しく調べていると時間がかかるから推計したとか、わからないところは全部所得漏れにして課税するなどという、いいかげんな説明だったから、今度は正しく説明してくれるのかと尋ねたところ、竹山財務事務官は、そんなことは言ってないとしらを切ってきた件を持ち出したのである。

「署長同席のもとで説明するなんて言ってないし、わからないところは課税するなんてことも言ってないですよ!」
と、竹山財務官は厳しい口調で言い返してきた。
その後も、言った、言わないの口論が続いたため、
「言ってますよ、聞かせましょうか」
と、私は用意してきたカセットテープレコーダーに、平成15年12月17日の竹山財務事務官との電話の内容を録音したテープを装着し、センターテーブルの上に置いて聞かせた。
「このとおり、言ってるでしょう」
と私が言うと、
「いつ、私が署長同席のもとで説明するなんて言ったんですか。言ってなかったでしょう」
と、竹山財務官は答えた。
「言ってるでしょう」
私は、もう一度、録音したカセットテープを聞かせた。
「署長同席のもとで説明するなんて言ってないし、署長を連れてくるとも言ってないじゃないですか」
竹山財務事務官は、同じことを言った。

(これは、一筋縄ではいかない)
と私は思った。
録音されている内容を聞かされても、平然と否定するのである。
「竹山さんが積極的に署長同席のもとで説明するとは言ってませんが、署長を交えて質問したい、竹山さんが自信をもって調べられたのであれば、その時にしっかり答えていただけばいいですから、という私の話に、わかりました、と答えてたじゃないですか。聞いてたでしょう」

「そんなことは言ってない!」
竹山財務事務官は、ついに怒ったように言った。

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つぼ破損事件:口論1

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平成15年1月23日午後2時頃。
竹山財務事務官と河地財務事務官の両名が、私の事務所にやって来た。事務員でもある妻が応対し、事務所の南側の応接室に案内した。
私は、やりかけの仕事に区切りをつけ、応接室に向かった。
応接室の北側にある三人がけソファーの西側に竹山財務事務官が座り、その東側に河地財務事務官が座っていた。
私は、応接室の南側に一人がけソファーが二つ並べてあるうちの西側のソファーに腰を下ろした。竹山財務事務官の向かい側である。私から向かってその右側に、河地財務事務官が座っていた。
運ばれてきたお茶を飲みながら、時候のあいさつや、ふたことみこと世間話をした後、本題に入った。午後2時10分頃である。
「今日は、お二人だけですか。署長はやはり、お見えにならなかったんですね」
と、私は言った。
「二人だけですよ。署長を連れてくるなんて誰も言ってやしないですよ」
と、竹山財務事務官は答えた。非常に横柄な口のきき方だった。
「誰も言ってないって、竹山さん。以前、総務課長は署長に会わせることを約束しましたよ。竹山さんも、電話で署長同席のもとで説明することに、承諾してくれたじゃないですか」
「私が、いつ署長同席のもとで説明するなんて言ったんですか!」
「確かに、おっしゃいましたよ、竹山さん」
「言ってませんよ」
竹山財務事務官は、頑なに否定した。
「言ったじゃないですか」
私も、言い返した。
「言ってないものは言ってないですよ」
竹山財務事務官も、譲らなかった。

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調査結果の説明4

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平成16年1月18日、再度、寺沢辰麿国税庁長官に対して請願書を送付した。
まず、平成15年12月20日付の請願に対して何ら対応がなされておらず、その後も名古屋中税務署からの嫌がらせが続いていることを指摘した。
そして、前回の請願事項と同様に、名古屋中税務署に対し、公平・適正な税務調査を行うよう厳しく指導することを求め、南博昭署長、竹山孝特別国税調査官、古賀聡明職員の3名の懲戒を求めるとともに、前回の請願に対してどのように対応したか文書での説明を求めた。 
           
むろん、何の返事もない。
今までのいきさつから、何の対応もなされないだろうことは、請願書を出す前からわかっていたことであった。

請願書を出してからそのことに気付き、竹山財務事務官に電話した。仕事の日程をみて、1月23日の金曜日の午後2時に、私の事務所に来て調査結果の説明をしてくれるよう伝えた。                           

その説明に、上司を立会わせることはないだろう。とにかく信用のできない連中だ。まともな説明は期待できないかも知れない。調査の続行ややり直しもしないなどと言っている。
しかし、今まで、修正申告をするかどうかの返事だけを求めていたのが、今は、まがりなりにも、説明すると言っている。いたずらに署長等の上司立会いにこだわって長引かせても、仕事に悪影響を及ぼすだけで、何の得にもならなかった。
その時にまた、いいかげんな説明をするようだったら、カセットテープへの録音を求めて記録を残せばよいではないか。そして、それを証拠に調査のやり直しを求めていけばよいではないか。

こう着状態に陥っていた事態が、打開されるような気がした。

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調査結果の説明3

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翌日、名古屋中税務署の辰巳総務課長にも電話した。
竹山財務事務官は、説明するから時間をとってくれと言っていたが、立会人は自分の部下であり、正しい説明など、とても期待できない。現に昨日の電話でも、嘘をついて事実を認めなかったから、署長か副署長のどちらかを立会人として同席させ、嘘をつかない正しい説明をしてほしい。その結果不備があれば、調査の続行ないしやり直しをしてほしい、と要請した。

だが、辰巳総務課長の回答は、署長は立ち会えない、調査結果の所得税額等は変わることはない、調査の続行もやり直しもしない、しかし、説明だけは竹山にしっかりさせるからという、わけのわからないものであった。
これでは、何の意味もない。説明された調査結果の金額や税額が、こちらの資料と照合して間違っていたことが判明しても、調査の続行ややり直しをしなければ、わざわざ説明を聞く必要などないではないか。

こんな当たり前のことも、辰巳総務課長には、わからないのか。いや、わざと、とぼけているのだろう。
その電話で、再度、竹山財務事務官の税務調査の不当性も訴えたが、辰巳総務課長は、
「竹山は公正で適正な調査を行っているから、もう一度説明を聞いてやって下さい」
と、紙に書かれた文章を読み上げるように言うばかりであった。

ふざけた回答である。
「それは、署長の回答ですか、総務課長個人の回答ですか」
と私は質した。
「組織の回答です!」
辰巳総務課長は、言下に答えた。非常に力強い口調であり、大きな圧迫感が伝わってきた。

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調査結果の説明2

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年が明けた。
平成16年1月15日、事務所の郵便受けに、臨宅通知書と書かれた紙切れが配布チラシやダイレクトメールに混じって入っていた。紙切れ一枚であるから、うっかり捨てるところであった。
その臨宅通知書には、次のように書かれてあった。

「臨宅通知書  平成16年1月15日   ○○○○様    本日、11時20分頃、あなたの所得税調査のためお伺いしましたが、ご不在でした。つきましては、平成15年12月12日に、あなたに説明しました調査所得金額及び調査所得税額並びに消費税、地方消費税の課税標準額及び消費税の調査額について、再度説明いたしますので、1月16日(金)17時までに下記担当者まで連絡ください。   なお、連絡いただけない場合は、文書(更正通知)により、平成12年分、平成13年分及び平成14年分に係る所得税並びに消費税及び地方消費税につきまして、通知いたします。    記   連絡先(担当者)  名古屋中税務署 個人課税部門  特別国税調査官 竹山 電話 962-3131 内線2301」 

臨宅通知書をみて、竹山財務事務官に電話した。
「説明するんですか」
と私が言うと、説明するから、時間をとってくれ、と言う。
「どなたが立ち会うんですか」
「私の部下が立ち会う」
「部下?前回も部下でしたが、まともに説明してくれませんでしたね。詳しく調べてると時間がかかるから推計したとか、わからないところは全部所得漏れにしただとか、そんな説明でしたね」
私が言うと、
「そんなことは、言ってませんよ」
と、竹山財務官は、妙に落ち着いた口調で言った。電話の向こうで人を見下したような態度が窺われた。
「言ってないって!確かにそう言ったじゃないですか、竹山さん」
私は語気を強めた。
「言ってないですよ」
と竹山財務事務官は、今度は不機嫌そうに答えた。

調査金額を提示した昨年12月12日の話のやり取りが録音されていれば、それを目の前に突きつけて聞かせてやりたい気持ちだった。
証拠が出せるものなら出してみろ。竹山財務官には、そういった傲岸不遜な態度が現れていた。

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調査結果の説明1

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平成15年12月20日の国税庁長官への誓願も、黙殺されただけだった。

請願事項については、黙殺されたが、竹山孝財務事務官(特別国税調査官)からは電話があった。
私が留守だったため、修正の件で返事がほしいから電話をくれ、ということづけが、事務所にあったのである。

修正申告の返事というと、やっかいである。全く何の説明も聞いていないから、修正するとは当然言えないし、かといって、修正しないと言えば、向こうの思う壺である。修正を勧めたのに本人が拒絶したため、やむなく更正決定に踏み切った、という都合のいい理由を与えるからである。

だいたい、やり方が汚かった。
いきなり調査を終わりにすると言って、調査金額を提示された12月12日は、こちらの質問にはまともに答えず、詳しく調べていたら時間がかかるだとか、わからないから課税するだとかいう、人を馬鹿にしたような回答であった。
そんな説明では当然納得できないから、更に細かく質問すると、自分はこれで担当から外れるから、そういうことは次の担当者に言え、と言うのである。そして、その時は、修正申告の話は全くせず、文書で通知する、と断言していた。
文書での通知が更正通知であることは、容易に推察できる。最初から、いきなり更正決定をする意図だったことは、明らかだ。
それが、その後の私の激しい抗議に、いきなり更正決定することに躊躇を覚え、修正申告の慫慂(しょうよう)をしたが拒否されたため、更正決定に踏み切ったという形に持っていこうとしているのであろう。

真摯に対応する気が税務署側にあるのであれば、感情かこじれて信用のなくなった竹山財務官だけに説明させるはずはない。上司に当たる署長か副署長を同席させて、説明させるはずである。
正しい説明をして十分納得させた上で修正申告の慫慂(しょうよう)を図る方が、物事の解決が早いのだ。それをしないということは、もともと調査がずさんで、立会いの上司にまで責任が及ぶことを心配しているからであり、立会いができない不都合な理由が多々あるからではないのか。

竹山財務事務官から電話があったのは、12月24日である。
国税庁長官へ誓願したのは12月20日であるが、その日は土曜日であるから、同長官のもとに届けられるのは、早くても月曜日の22日である。請願書を見ての慌てた行動であることは容易に推察できるが、請願事項に真摯に対応するという行動ではなく、他の方法で請願事項を握りつぶすという強引かつ姑息なやり方なのである。

調査結果の正しい説明は、譲れないゆえんであった。

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請願

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平成15年12月20日、国税庁長官に対して請願書を送付した。

国税庁長官寺沢辰麿殿
                        ××××××××  ○○○○○○

私は、現在名古屋中税務署より税務調査を受けている者であるが、同調査にからむ税務署長、税務職員らの不正、犯罪行為につき、憲法16条に基づき次のとおり請願する。
一、請願事項
 1.管轄の名古屋中税務署に対し、公平・適正な税務調査を行うよう厳しく指導することを求める。
 2.反面調査を名目に請願人の業務を妨害した名古屋中税務署古賀聡明職員に懲戒を求める。
 3.前記古賀職員の違法行為に抗議した請願人に対して、報復行為を行っている名古屋中税務署南博昭署長及び個人課税部門の竹山孝特別国税調査官両名に懲戒を求める。

以上の請願事項を掲げ、二、請願の経緯と理由、と題して古賀聡明財務事務官による不法行為を詳細に説明し、当該古賀事件への抗議に何ら対応しないこと、更に、当該抗議に対する報復的行為として、必要書類を調査せず、違法な推計により税務調査を中途で終わらせ、多額の税金を不当に課税しようとしていることなどを詳細に記述した上、これら違法な税務調査への抗議に名古屋中税務署長は何ら対応しないばかりか、不正行為を隠蔽するため、請願人への嫌がらせを積極的に後押ししているきらいが強い、と訴えた。

そして、当該請願を、仮にも無視、放置して何ら対応がなされないような場合には、電話の録音テープ等の証拠をマスコミ等に提供し、法的処置や国会での追及等も辞さない覚悟も表明した。

それでも。
全く反応がなかったのである。
以前、古賀財務事務官の事件に関して中税務署長に行った誓願についても、何の対応もなされなかった。
請願書は受理したが、内容について検討した結果、調査のやり方は妥当で懲戒理由に当たらないとか、やり方を
改善する必要がないとかいう返事でもあればともかく、全く何の反応もないのである。

憲法第16条は、「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人もかかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」と規定している。
また、請願法は、第2条で文書による請願の方式を定め、第3条では請願の提出先を、請願事項を所管する官公署に提出しなければならないと定め、第4条では、請願書が誤って他の官公署に提出されたときは、その官公署は「請願者に正当な官公署を指示し、又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない」と定めている。
そして、第5条では、「この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない」と規定し、第6条では「何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」と規定している。

名古屋中税務署長や国税庁長官らは、請願法など法律のうちに入るか、と馬鹿にしきっているのではないか。請願は、請願法という法律で定められているだけでなく、憲法で保障されている権利である。
憲法第99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定められている。官公署の人間が憲法を軽んじ、法律を守らずして、だれが法律を守るというのか。

その後も、請願はくり返されるのだが、彼らは請願に対して、ついに微動だにしなかつた。

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国税・税務署との対決4

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翌18日、辰巳総務課長から電話があった。
驚いたことに、署長は会えないら、自分が会って話を聞くと言う。
(今更、何を言い出すのだ)
と、私は思った。

15日に、竹山孝財務事務官(特別国税調査官)の税務調査の不当性を訴え、署長立会いでの調査金額の説明を求めたところ、了承して日程を調整する、と言ったではないか。昨日は、日程の連絡が遅くなっていることを認め、歯切れが悪かったため、署長は逃げているのではないか、と私が言ったところ、逃げてはいない、明日連絡する、と言ったのだ。
総務課長と会って話しをするために何度も電話をかけているのではない。それぐらいのことは電話の内容から、当然わかることであり、総務課長本人と話をするつもりなら、その電話で話しを続ければよいのである。

「署長に会わせると言ったじゃないですか」
私は言った。
「署長に会わせるとは言ってないですよ」
辰巳総務課長は、怒ったように答えた。
「日程を調整すると、言ってたでしょう。昨日電話した時、署長と会える日を、明日連絡すると言ってたじゃないですか」
「日程を調整するとは言いましたが、署長に会わせるとは言ってないですよ」
自分の日程の都合を言っていただけだ、と言うのである。
「署長同席で説明するということで、竹山さんにも了承してもらってますよ」
と、私が言うと、
「了承なんかしてませんよ」
と、辰巳総務課長は言下に否定した。自分のことではないのに、である。
「竹山さんは、了承しましたよ。聞かせましょうか」
私は、昨日の竹山財務官との電話の内容の録音を聞かせた。
「了承してるでしょう。竹山さん、わかりましたとはっきり言ってるでしょう」
辰巳総務課長は、何も言わなかった。
「一体、真面目に対応する気があるんですか」
辰巳総務課長は、まだ沈黙していた。
私は、だんだん腹が立ってきた。
「嘘ばっかりついて。人を愚弄するのにも、ほどがあるんじゃないですか。約束を守るんですか、守らないんですか」
「署長は会えません。抗議は私が対応します」
辰巳総務課長は、抑揚のない声でそれだけを言った。

税務署は、完璧な縦社会であるから、上司の命令は絶対である。
役職の下の者は上の命令に背けず、下の者から上の者に命令したり、注意したりすることなどできはしない。
竹山財務官は特別国税調査官であるから、副署長に次ぐ地位である。総務課長など格下であり、副署長待遇の竹山財務官が、格下の辰巳総務課長の命令で、職務のやり方を変えることなどありえない。
私の抗議へのすべての対応は、竹山財務官の上司の指示によるものであることは明らかだった。

それは、誰か。
名古屋中税務署の南博昭署長であろう。
南博昭署長に対して古賀財務事務官の事件で三度も抗議した。その事件の内容と、抗議についての対応が全くなされないことが本来の問題であるにもかかわらず、いつのまにか、問題が私の税務調査の修正問題にすり替わってしまっている。
巧妙である。都合の悪いことをうやむやにする役人特有のずるく、汚いやり方だ。
もはや、私の話など、全く聞くつもりはないのかもしれない。
組織のトップが自分たちの不正を隠すため、権力を背景とする組織力を使い、対抗する人間を潰しにかかってきた。

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国税・税務署との対決3

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辰巳総務課長との電話の後、すぐに竹山孝財務事務官(特別国税調査官)に電話をかけた。
「竹山さんですか」
「竹山です」
「いましがた、事務所に戻ったら、竹山さんからの文書が入っていましたので。連絡くれということで」
「ええ」
「質問があれば19日までに連絡してくれ、ということですが」
「はい」
「まあ、質問は署長を交えてさせていただきます」
「え、ええ」
「先ほど、総務課長にも電話したところ、日程の都合を明日にも連絡してくれるということですので」
「はあ」
「だから、その時に、竹山さんの出した数字の根拠等について、いろいろ質問させていただきますので」
「あ、そうですか」
「そんなことで」
と、私が電話を切ろうとすると、
「いや、うちの方はね」
と、竹山財務事務官は慌てて言葉をつないできた。
「あ、そうですか。うちの方はね、修正のね。ま、それはそれで結構ですけど」
と言い、
「修正の方の、まあ、どうかな、ということで」
と、修正をするのかしないのか、という結論の返事だけを求めてきた。調査金額について説明するから、それを聞いた後、修正するかどうか返事せよ、という話ではないのである。
「その返事は、説明を聞いた後にします。今度、署長を交えた席で調査額の根拠等について質問させていただきますので。竹山さん、自信をもって調査したものであれば、その時に、しっかり、説明していただけば結構ですので」
と、私は言った。
「あ、そうですか」
「そういうことですわ」
と、私が言うと、
「わかりました」
と、竹山財務事務官は、はっきり答えた。
「はい」
「はい」
と、お互いが返事して電話を切った。
これが、この日の竹山財務事務官との電話のやりとりのすべてだった。
調査金額についての質問は署長同席の場で行う、そして、修正するかどうかの返事は、その質問に対する説明を聞いてからというのが、私の電話の趣旨であり、これに対して竹山財務官は、わかりました、とはっきり答えたのである。

私の事務所の電話には、自動録音機能がついているので、この電話のやりとりは、そのまま録音されて残っていた。先の辰巳総務課長との電話のやりとりも同様である。
だが、後に、言った言わないの争いになった時、あろうことか、この録音内容を聞かされても、平然としらをきる厚かましさが、税務職員には染みついていたのである。

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国税・税務署との対決2

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厳しい文言で抗議しても、黙殺する。文書での抗議だけでは、放置されていいようにされてしまう。

竹山孝財務事務官(特別国税調査官)からの電話を切った後、しばらくして、名古屋中税務署に電話をかけた。
電話に出た職員は、署長に取り次がずに、総務課長に電話を回した。
総務課長は辰巳と名乗った。電話に出た辰巳総務課長に、竹山財務事務官の税務調査の不当性を訴えた。
調査途中で、突然税務調査を打ち切ったこと、法外な所得漏れの金額を提示しながら、その根拠について何ら説明がなかったこと、正しい説明を全くしようともせず、修正申告を受け入れるかどうかの結論だけを激しく迫っていること等を告げた。
そして、まず竹山財務事務官の出した調査結果金額の説明を、署長立会いのもとで行ってくれるよう要請した。今までの状況をみると、竹山財務官は、上司が同席していなければ、まともな説明など、とてもしないだろうと思われたからである。
辰巳総務課長は、要点をあいまいにして、話を避けようとするそぶりを見せたが、筋道を立てて何度も何度も説明し、執拗に懇願したため、
「わかりました。日程を調整します」
と、しぶしぶのように返事した。

ところが、その2日後の15日、留守にしていた私の事務所に、下記内容の文書が置かれていた。
「平成15年12月17日  ○○○○様  名古屋中税務署  本日、16時37分頃、あなたの所得税調査のためお伺いしましたが、ご不在でした。つきましては、平成15年12月12日に、あなたに説明しました所得金額、並びに消費税、地方消費税の課税標準額及び消費税の調査額について、ご不明の点があれば、12月19日(金)までに下記担当者まで連絡ください。 連絡先(担当者)個人課税部門 特別国税調査官 竹山 電話 962-3131内線2301」

私は、唖然とした。
一昨日、辰巳総務課長は、私の言い分を聞いて、署長との面会を約束したばかりではないか。もともと、約束を守るつもりなど、なかったのか。それとも、竹山財務事務官には、その件を連絡してなかっただけなのか。連絡の行き違いから、このような文書が差し置かれてしまったのだろうか。
それにしても、今頃、ご不明の点があれば連絡ください、とは恐れ入る。非常に気分の悪い文書だった。

私は、すぐに辰巳総務課長に電話した。
私の名前を言うと、
「あ、どうも、回答遅くなっておりますが」
と、用件はわかっている、というように言った。
「あのう、どうなんでしょうか」
私は尋ねた。
「えーとね、今ちょっと、日程は調整させていただいております。それで、うーんと、まあ、いつ、って言うのは、今の段階ではちょっと、まだ、言えないんですけど」
非常に、歯切れが悪かった。
「ええ」
「それはまあ、日程を調整してるという意味で」
少し間があり、
「どうですかねえ、明日ぐらいには、電話さしていただけるかな、と思ってますが」
「ああ」
そうですか、と言おうとすると、
「いつ、っていうのをですね、いつ、っていうのをですね」
と、辰巳総務課長は、同じ言葉を、2度繰り返した。
「署長が、逃げておられるということではないですわね」
と私が言うと、
「に、逃げていることはないですよ。明日連絡します」
と慌てたように、答えた。

このときの言葉のやりとりは、次の竹山財務官との言葉のやりとりとともに、後日の民事訴訟、刑事訴訟における重要な証拠となるが、この時点では、そのようなことは予想だにしなかった。

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国税・税務署との対決1

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12月5日、名古屋中税務署の南博昭署長宛てに、古賀財務事務官の事件で抗議した。
何の返事もなかったどころか、同月12日、税務調査にかこつけて報復的な行動に出てきた。

翌13日、再度、名古屋中税務署長宛てに抗議した。前回の対応を踏まえ、圧力と証拠保全の意味も含めて、今度は内容証明郵便で抗議した。
抗議事項は、「古賀聡職員の違法行為に抗議と懲戒請求をした当方への報復行為と思われる税務調査のやり方に、厳重な抗議を申し入れる」というものである。
また、抗議理由として、古賀事件の抗議にも触れ、竹山孝特別国税調査官の税務調査の経緯を説明し、違法な推計で税務調査を途中で終わらせ、何の説明もないまま、更正決定をもくろむやり方を指摘するとともに、不正を改めなければ、貴殿や上級庁のトップキャリアの責任に至るまで、厳しく追及し、あらゆる手段を用いて対抗する、という強い決意を表明した。
厳しい言葉で抗議すれば、古賀事件をはじめとする不正行為を、闇に葬ることはできないだろうと考えたからだった。

だが、今回の抗議に対しても、名古屋中税務署からは何の対応もなされなかった。
対応どころか、署長や副署長からは、その内容について、説明や弁明さえない。またしても、私の行った抗議は、全く無視されてしまった。

抗議については、無視されたが、竹山財務事務官の攻撃は、逆に激しくなった。
抗議書が中税務署に届けられると、早速、竹山孝財務事務官(特別国税調査官)から電話があった。
「先日の金額で修正に応じるかどうか、返事がほしい」
と、言うのである。結論だけを求める、非常に慌てた様子だった。
12月12日には、文書で通知する、と断言しており、修正申告の慫慂(しょうよう)は、なされていない。いきなり、更正通知をすることを表明し、文句があれば、次の担当者に言え、と冷たく突き放したのだ。
それが、今回は、修正申告するかどうかと迫っている。
私のした抗議の文面に警戒し、修正申告を勧めたが、本人が拒否したため、やむなく更正決定した、という形にもっていきたいのだろう。
「修正申告に応じるかどうかと言われても、何の説明を受けていない。返事のしようがないじゃないですか」
私は、言葉を選んだ。
「署長にも抗議中です。その返事は、内容の説明を聞いてからです」
言葉尻をとらえられないよう注意しながら言い、竹山財務事務官からの電話を切った。

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