権力の犯罪

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やつらの思惑が狂ったのは、抜き打ちの逮捕に失敗したことだ。
私にかけられた容疑など仮に事実だったとしても、取るに足らない事件である。証拠も税務職員の同僚二人の証言だけだ。
普通は、任意で事情を訊いた上、容疑が固まったら逮捕するという手順を踏むはずである。そのような手順を踏まなかったのは、抜き打ちの逮捕それ自体が重要だったからであろう。
わけがわからないまま逮捕されていれば、真実を立証する証拠も残せなかっただろうし、仕事や家のことが気になって、私も自白に追い込まれたかも知れない。

だが、やつらは私の逮捕に失敗したのだ。
強大な権力の横暴に、一人の男がかろうじて互角に近い闘いを続けられるのは、初戦の奇襲を運よくかわし、迎え撃つ態勢をとれたことが大きかった。

国家権力が犯罪行為を平気で犯すのは、国民によるチェック機能が作用していない上、犯罪を摘発する権限が警察と検察にしか与えられていないことが原因である。
特に検察官は公訴(起訴)権を独占し、公訴を提起することも、公訴提起の理由(嫌疑)がありながら公訴しないことも、検察官の裁量に委ねられているのである(起訴便宜主義:刑事訴訟法248条)。
このことは、犯罪者でなくても起訴し、犯罪者であっても起訴しないことを検察が勝手に決めれるということである。
検察官は、公訴権を独占する極めて強大な権限を与えられている上、政治的な圧力を不当に受けないようにという配慮から、ある程度の独立性も認められている。行政機関である検察庁の最高の長であるはずの法務大臣でさえ、検察官に対しては指揮権を制限されているのである。

加えて、起訴された事件を審理する裁判所は法の番人たる役割を果たしておらず、我が国の刑事裁判は形骸化しており、正常に機能していない。
これでは、国家権力による犯罪行為が起きない方が、不思議ではないだろうか。

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正当防衛3

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事件の全貌が見えてきたような気がした。

検事調べを担当した小池検事の言葉が思い出された。
「竹山財務事務官は半身の姿勢で出て行ったのだな」
と、半身の表現にひどくこだわっていたのである。
その理由が、今、はっきりわかった。

竹山財務官が応接室から出て行くときの姿勢など、公務執行妨害の本事件に関しては、さほど重要なことではないと思って何の注意も払わなかったが、これは、民事の正当防衛を成立させるための大事な筋書きのひとつだったのだ。
背中を向けて応接室を出て行ったのでは、
「原告に背中を見せて逃げたのでは何をされるかわからないため、やむなく、後ずさりしながら応接室を出ようとしたところ、体の左後ろ側が観葉植物様のものに接触し、結果的に花瓶ないしは壷が台から床に落ちて割れたものであるから、自己の身体の安全を守るためにやむを得ずとった行動である」
という正当防衛の根底が崩れるからである。

そうすると、公務執行妨害という事件をでっち上げて逮捕した理由もはっきりする。
逮捕して接見禁止で締め上げれば、自白を取れると見たのだろう。
自分や家族の生活のために日々の仕事を抱えている一人の人間が、いきなり逮捕されて社会と隔絶されれば、当面の境遇から逃れるため、一時的に自白してしまわないとも限らない。
彼らの狙いは、ここにあったのだ。
警察のいいかげんな取調べや、検事の非常に激しい取調べの状況が、それらの事実を物語っていた。

古賀という税務職員が、社会通念に著しく反する調査を行って抗議を受けたが、その抗議に何ら対応しなかった。抗議が激しさを増してくると、不正を隠すため、違法な税務調査で報復して黙らせようとしたが、逆にますます抗議が激しくなってきた。法律に基づく請願による抗議を一切無視して責任をうやむやにしようとしていたさなかに、竹山財務事務官が、あろうことか、つぼを割った上、謝罪もせずに逃げ帰ってきてしまった。
こんなことが、世間に知れたら大変である。
もはや、竹山財務事務官という一人の下級役人の責任問題で留まる事態ではなくなった。危機感を抱いた国税の高級官僚は、事態を重く見て権力を背景とした組織力を使って対抗してきたのである。
姑息で、女の腐ったような卑劣なやり方である。卑劣なやり方というよりは、許されざる権力の犯罪行為というべきだった。

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正当防衛2

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竹山孝財務事務官(特別国税調査官)が人のつぼを割っても、本人はおろか、同僚の河地財務事務官(特別国税調査官)や中税務署署長、総務課長らは、弁償をするどころか、謝罪も何の弁明もしなかった。
私からの抗議を一切無視し黙殺しておきながら、今頃になって正当防衛などと、つぼを割った正当性を主張してきているのである。

なぜ、裁判になった今頃、正当防衛を主張するのか。
それは、もともと正当防衛ではなかったからであり、この民事裁判で主張するために、正当防衛となる事実を作ってきたからである。

正当防衛などという滑稽な主張は、世間の常識ではおよそ通らない。
が、国が被告の裁判で、それに関わる裁判官や検察官が同じ国に勤める公務員という場合には、どうにでもなってしまう、という恐ろしい現実があった。
それでも、刑事と違って民事の正当防衛は要件が非常に厳格で、めったに認められるものではない。
他人の違法行為が急迫で、これを防衛するために、自らも加害行為をなすほかに適当な手段がないばかりでなく、防衛される利益に比して防衛のための加害行為から生ずる損害が、客観的にみて著しく権衡を失しないことを必要とする、とされている。
民事の正当防衛を認めさせるためには、まず、原告である私を、悪人に仕立て上げなければならない。急迫な違法行為の存在が必要だった。
そして、その違法行為を防ぐため、竹山財務事務官が後ずさりして応接室を出て行ったというシナリオを書かなければならなかった。

事件の全貌が見えてきたような気がした。

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正当防衛1

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被告である国の答弁書は、竹山財務事務官がつぼを割った行為は、正当防衛だというのである。
厚かましい主張であった。
正当防衛といえば、刑事事件で耳にする程度で、民事では一般に、その規定の存在さえほとんど知られていない。
が、民法にも、規定はある。
民法720条は、「他人ノ不法行為ニ対シ自己又ハ第三者ノ権利ヲ防衛スル為已ムコトヲ得ズシテ加害行為ヲ為シタル者ハ損害賠償ノ責メニ任ゼズ」と規定しており、これが民法の正当防衛である。

平成16年1月23日の状況について、同答弁書は次のように記していた。
調査結果の説明につき、署長の前で説明すると言った、言わないでもめたため、原告は竹山特官と原告との会話が録音されているテープを再生するとともに、竹山、河地両特官に向けてカメラを構え、2、3回シャッターを押した。
両特官が写真の撮影をやめるよう申し入れたところ、原告はいったんは撮影をやめたが、再びシャッターを押し始めたため、竹山特官は、カメラを避けるため立ち上がり、場所を移動した。その際、原告も河地特官もその場に立ち上がった。
その後携帯電話の番号を教えた、教えてもらってないでもめると、嘘を言うなと大声を出してカセツトテープ数本を竹山特官めがけて投げつけた。
原告はカセットテープを投げつけたあと、竹山特官に掴みかからんばかりに迫ってきたため、竹山特官は、原告に危害を加えられるかもしれないという強い恐怖心を感じ、危害を避けるため、後ずさりしながら応接室を出ようとした。
竹山特官が応接室を出た際に、花瓶ないし壷が台から転落して破損したこと、竹山特官が応接室から出るときに、予期せず体の左後ろ側が応接室出入り口に置かれてあった観葉植物様のものに触れたことからすると、竹山特官がその観葉植物様のものに触れたことがきっかけとなり、その観葉植物様のものが花瓶ないし壷に接触して、この花瓶ないしは壷が床に落ち、割れたものと思料される。
原告は、その後も大声を出し、両特官の写真撮影をやめないため、両特官はこれ以上の説明は不可能と判断し、調査を打ち切って原告事務所を立ち去った。

上記のとおり、竹山特官は、原告の暴行から身を守るための行動の結果、誤って原告事務所に置かれていた花瓶ないし壷を床に落とすに至ったものであるから、民法720条の正当防衛に該当すると主張する。
そして、
①他人の不法行為の存在として、原告が竹山特官に対してカセットテープを投げつけ、更に掴みかからんばかりに迫ってくるという暴行を行っている
②自己または第三者の権利を防衛する行為であることとして、原告から危害を加えられるかもしれないという恐怖を感じ、これを避けるために後ずさりしながら応接室を出ようとした際、観葉植物様のものに触れたのであるから、竹山特官の行動は、自己の身体の安全を守るためにした行動である
③やむを得ずとった行動であることとして、竹山特官は、原告に背中を見せて逃げたのでは何をされるかわからないため、やむなく、後ずさりしながら応接室を出ようとしたところ、体の左後ろ側が観葉植物様のものに接触し、結果的に花瓶ないしは壷が台から床に落ちて割れたものであるから、自己の身体の安全を守るためにやむを得ずとった行動である
ことを挙げ、竹山の行為は正当防衛として評価され、加害行為の違法性は阻却される、と主張しているのである。

全く、あきれ返った主張であった。
まず、カセットテープは、竹山財務事務官にめがけて投げたのではなく、パーティーションに投げつけた。
携帯電話の番号を教えたか、教えてないかの口論の後、竹山財務事務官は背中を向けて、応接室から玄関に通ずる事務室の方へ立ち去った。
その時、
「ガッシャーン」
という大きな音が聞こえたため、
「何をしたんだ!」
と、私は反射的にカメラを手に持ち、事務室の方へ駆けつけた。
見ると、玄関の方を向いた竹山財務官の足元に、割れたつぼの破片がかたまっていたため、
「なぜ、割るんだ」
と、私は割れたつぼの破片を指差し、竹山財務官を問い詰めた。
すると、竹山財務官は、
「私、割ってませんよ」
と、人を小馬鹿にしたような態度で否定するなり、そのまま玄関の方へ逃げだしたのである。

その件で、名古屋中税務署へ電話をかけても、署長や総務課長は居留守を使って話し合いにも応じなかった。文書で抗議しても黙殺し、謝罪や弁償はもとより、何らの弁明もしなかったのである。

正当防衛などという立派な違法性阻却理由があるのであれば、まず、竹山財務事務官がつぼを割った事実を否認するはずがない。
つぼは割ったが、お前が暴行してきたからであり、自分には責任がないと、当然その場で主張するはずである。同じ現場にいた同僚の河地財務事務官も、一緒にその場で正当性を主張して弁護するのが筋ではないか。
また、正当防衛であれば、逃げ帰った竹山、河地両名から事情を聞いた署長や総務課長が、なぜ、居留守や黙殺という態度をとらなければならないのか。
私の電話や文書での抗議に、そのような態度は取らず、つぼ破損の正当性を主張するだけである。
何度抗議しても無視するので、つぼ破損の現場写真を送って、このまま黙殺すれば訴訟を起こすと警告までしたのである。

それらの抗議を一切無視し、裁判のときまで正当防衛の主張をしなかったのはなぜか、ということである。
それは、正当防衛を主張できるだけの事実を、この民事裁判のときまでに作り上げる必要があったからにほかならない。

               

               

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弁護団結成

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保釈されても、ゆっくりする暇はなかった。
翌3月5日には、早くもその日の夕方に裁判の打合せの予定が入っていた。
刑事事件は、第一回の公判期日は4月28日と指定されていたが、民事事件の第一回の公判は3月12日で、あと1週間に迫っていたからである。

1ヶ月も仕事が中断すると、溜まっている事務処理も大変である。
仕事を断った得意先への対応や、逮捕前から取り掛かっていた継続中の仕事の処理など、やらなければならないことが山ほどあった。
気持ちはあせるが、作業は進まず、いらいらして雑用の処理だけで時間が潰れた。1ヶ月間仕事から遠ざかると、なかなか仕事の勘が戻らない。時間ばかり浪費して、作業はほとんど進まなかった。

結局その日は、事務所でうろうろしただけで夕方になり、裁判の打合せのため、O弁護士の事務所に向かった。
O弁護士の事務所では、はじめて見る弁護士が二人いた。A、B両弁護士とも、30台半ばの若い弁護士だった。二人とも平成14年の弁護士登録であるが、刑事訴訟に強い優秀な若手の弁護士だという。

起訴された翌日だった。いつものように留置場へ面会に来たときである。
「この事件は、とてもぼく一人でできるような事件じゃない。優秀な若手の弁護士を2、3人付けたいがどうだろう」
と、O弁護士は言った。
私には異存はなかったので、人選を任せていたのである。
O弁護士を主任弁護人として、本日この3人で弁護団が結成された。

先に来ていたB弁護士は、私が打合せの場に来たことに、驚いた様子だった。昨日保釈されたことを、O弁護士からまだ聞いていなかったのだろう。
被告人が勾留されたままでは、訴訟の進行上、いろいろな不都合が生ずる。その意味では、これで迎え撃つ体勢が整ったと言えた。

民事のつぼ破損による損害賠償請求訴訟は、訴額20万円の小額事件であるから、名古屋簡易裁判所に提訴した。しかし、担当になった簡易裁判所の裁判官は、この事件はとても簡易裁判所で扱えるような事件ではないとして、上級の名古屋地方裁判所へ事件を移送していたのである。

その打合せの席で、被告国側の出してきた答弁書と、竹山、河地両財務事務官の陳述書が手渡されたが、その答弁書には驚くべくことが書いてあった。

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